妖怪文化を活用したコンテンツツーリズムの開発に向けた基礎的考察

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タイトル別名
  • A Basic Study of Contents Tourism Using Japanese Yokai
  • 妖怪文化を活用したコンテンツツーリズムの開発に向けた基礎的考察 : 「モチーフ」から「ジャンル」への転回を見据えて
  • ヨウカイ ブンカ オ カツヨウ シタ コンテンツ ツーリズム ノ カイハツ ニ ムケタ キソテキ コウサツ : 「 モチーフ 」 カラ 「 ジャンル 」 エ ノ テンカイ オ ミスエテ
  • From Motif to Genre
  • 「モチーフ」から「ジャンル」への転回を見据えて

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抄録

妖怪は、 時に民間伝承として、時に大衆文化の 中で 、様々に転生を繰り返しながら生きた文化として 再創造され続けてきた 。本稿は、そうした妖怪文化の現代的活用の一側面をコンテンツツーリズムの視点から明らかにすることを目的とするものである 。 本論では、事例分析のための枠組みを構築するために、「民俗文化/大衆文化」「既存のコンテンツの有無」という二つの軸を用いて 妖怪文化を活用したツーリズムの類型化 を試みた 。例えば、鳥取県境港市は水木しげる の キャラクターを活用しているという点において「大衆文化―既存のコンテンツあり 」の事例として位置付けられる。 従来の妖怪文化の活用は、大衆文化由来にせよ民俗文化由来にせよ、地域を象徴する「モチーフ」として用いられることがほとんどであった。そうしたキャラクターを消費することでツーリズムも成立していたわけだが、そこには本来の妖怪文化の担い手としての地域住民の関与はほとんどな い 。これに対して、近年では、地域住民が地域の妖怪文化を発掘、再創造するような事例が見られるようになった。そこでは、地域を解釈し、語り、楽しむための表現ジャンルとして妖怪が位置づけられている。 本論では 、 妖怪伝承の創造モデ ルを組み込んだプロジェクトとして NPO 法人千住すみだ川との協働事業として 《隅田川妖怪絵巻 PROJECT 》を構想し、その実践を通して妖怪文化の つくり手 としての地域住民の語り を引き出すプラットフォームの一つの形を提案した 。本稿の後半部では、その第一段階として 2014 年 3 月に公開したまち歩き用アプリケーション「南千住百物語」について、地域の物語が再創造されていく過程を 辿る 。 この実践の検証を通してコンテンツツーリズムのジャンルとしての妖怪に光を当てることにより、地域に根差した物語づくりの手法を開発することができると考える。

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