保育士の発達評価に基づく就学後の心理社会的不適応の縦断的予測:保育要録用発達評価尺度の開発

書誌事項

タイトル別名
  • Longitudinal Prediction of Psychosocial Maladaptation in Elementary School Based on Developmental Appraisal by Nursery School Teachers
  • ホイクシ ノ ハッタツ ヒョウカ ニ モトズク シュウガク ゴ ノ シンリ シャカイテキ フテキオウ ノ ジュウダンテキ ヨソク : ホイク ヨウロクヨウ ハッタツ ヒョウカ シャクド ノ カイハツ

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抄録

保育士評定による年長時の発達特性が,就学後6年間の心理社会的不適応をどのように予測するかを検討するとともに,その予測精度を最大化する観点から,保育要録用発達評価尺度(DSNR)を開発した。単一市内全保育所および小学校を対象とした7年間の縦断調査によって得られた6つの学年コホートの計2,400名のデータを,交差妥当化のため,ランダムに訓練データとテストデータに分割して使用した。保育所での発達評価には,165項目からなる「保育記録による発達尺度(NDSC)」を用いた。重回帰分析の結果,外在化問題に対しては,注意欠如多動性障害(ADHD)に関連する「落ち着き」や「注意力」,内在化問題に対しては,自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連する「社会性」,「順応性」,「コミュニケーション」や発達性協調運動障害(DCD)に関連する「粗大運動」,学業成績に対しては,ADHDに関連する「注意力」,ASDに関連する「コミュニケーション」,DCDに関連する「微細運動」が有意な効果を示した。この分析で有意な効果を示した下位尺度について,項目レベルの重回帰分析を行い,予測に貢献していた35項目をDSNRの項目として選定した。確認的因子分析により,DSNRの信頼性と因子的妥当性が確認された。また,DSNRは大幅な項目数の縮減にもかかわらず,就学後の心理社会的不適応に対してNDSCと同等以上の予測力を示した。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 27 (1), 59-71, 2016

    一般社団法人 日本発達心理学会

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