「移行の危機」にある若者への支援の形成と変容

• INOUE Ema

  京都大学大学院教育学研究科博士課程 日本学術振興会

書誌事項

タイトル別名

• Formation and Transformation of Support for Young People Experiencing Crisis in Transition
• 「移行の危機」にある若者への支援の形成と変容 : 社会関係資本の観点から
• 「 イコウ ノ キキ 」 ニ アル ワカモノ エ ノ シエン ノ ケイセイ ト ヘンヨウ : シャカイ カンケイ シホン ノ カンテン カラ
• 社会関係資本の観点から
• A Social Capital Perspective

抄録

日本では2000年代から「移行の危機」にある若者が増加し, 危機の一面として, 社会関係資本の観点からの困難が指摘されてきた. しかし, 2000年代から始まった公的な若者支援は, その意義が強調される一方, これら社会的ネットワークをめぐる問題をいかに乗り越えるのか, その戦略は考察されていない. 本稿では, 地域若者サポートステーション事業を対象に, この論点を考察する. 本稿ではナン・リンの議論 (Lin 2001＝2008) から, 社会関係資本の伝達基盤となる相互行為における①異質的相互行為へのアクセスの困難, ②同類的相互行為の道具的限界という潜在的困難を指摘し, 対処する戦略をみる. ①に関しては, 特にイギリスのコネクションズ・サービスではアウトリーチなどの手段を通じて低減が図られ, 日本でも部分的に実施された. しかし職員との相談 (第1 段階の異質的相互行為) を経ても, 進路決定に必要な次の異質的相互行為をためらう若者の存在が職員に認識され, 自らのもつ資源 (「強み」) の承認を相互に可能にする若者同士の人間関係を構築しうるプログラムが多く実施されるようになった. ②に関しては, 若者同士の人間関係を通じて承認を得た資源を基盤に, 従来の若者の考え方とは異なる視点から, 進路探索に必要な新たな異質的相互行為に役立つ資源を職員が提供する. 本稿では, この同類的相互行為と異質的相互行為が相互補完的な役割を果たす過程を示す.

収録刊行物

• 社会学評論

  社会学評論 67 (2), 222-237, 2016

  日本社会学会

キーワード

• 社会関係資本
• 同類的相互行為
• 異質的相互行為

詳細情報

• CRID: 1390282679271807104
• NII論文ID: 130006108016
• NII書誌ID: AN00109823
• DOI: 10.4057/jsr.67.222
• ISSN: 18842755
• ISSN: 00215414
• NDL書誌ID: 027700018
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I027700018
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/67/2/67_222/_pdf
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可