一般講演 健康機能を有する乳酸菌の可能性 (平成28年度酪農科学シンポジウム 我が国における乳・乳製品の近未来) [in Japanese] Possibility of the lactic acid bacterium having a healthy function [in Japanese]
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近年,腸内細菌と健康との関係が非常に注目されている。腸内に存在する微生物は腸内菌叢を構成しており,その数は1000種類,1000兆個にも達するとの報告がされている。この数はヒトを構成する全ての細胞の10倍以上であり,我々は,このような多くの腸内細菌と共生しながら生活をしている。消化管は,栄養を吸収するだけでなく,食物等を通じて侵入する異物や病原体に対する最大の免疫器官でもある。近年の研究で腸内細菌が栄養吸収や免疫制御にも関わることが明らかになってきており,腸内細菌と肥満,糖尿病,アレルギー疾患,潰瘍性大腸炎,大腸ガンなどの予防など健康に関する研究分野が非常に活発なものとなっている。特に乳酸桿菌やビフィズス菌は,ヒトの消化管から多数検出されており,健康機能に深く関与していることが明らかとなっている。また,チーズやヨーグルト,漬物などの発酵食品を介して摂取した乳酸菌が健康機能に関与していることが報告されている。これら微生物の健康機能発現には,プロバイオティクスとして腸内フローラのバランスを改善する場合とバイオジェニックスとして生体に直接作用し,免疫機能促進,抗変異原作用,抗酸化作用,その他の生理活性を発揮する場合が考えられている。そこで,本講演では,乳酸菌が持つ健康機能の可能性について,我々の知見を中心に紹介する。
Journal
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- ミルクサイエンス = Milk science
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ミルクサイエンス = Milk science 65(3), 203-209, 2016-12
日本酪農科学会