新規機能性ペプチドを用いた皮膚潰瘍治療薬の開発

  • 中神 啓徳
    大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学
  • 森下 竜一
    大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学

書誌事項

タイトル別名
  • Drug Development for Skin Ulcer by Topical Application of Functional Peptide
  • シンキ キノウセイ ペプチド オ モチイタ ヒフ カイヨウ チリョウヤク ノ カイハツ

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抄録

<p>【要旨】我々が同定した新規機能性ペプチド AG30 は,血管新生促進作用等による創傷治癒効果と膜透過性変化による抗菌作用を併せ持つユニークな特性を有する.近年ヒト由来の抗菌ペプチド LL-37 の皮膚潰瘍を標的とした治験が行われ,治療効果が期待できる結果も得られている.そこで我々はこの新規ペプチドの皮膚潰瘍外用治療薬の開発を目指し,改変型ペプチド AG30/5C を用いて臨床研究を計画した.臨床研究の目的は,これまで治療法に苦慮していた MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を保菌している難治性皮膚潰瘍を対象に,AG30/5C を創部に局所投与したときの安全性および有効性(創サイズ・抗菌活性)を探索的に検討することである.2 例の皮膚潰瘍患者に対して AG30/5C を投与した結果,安全性評価としては特に因果関係のある有害事象は認めなかった.有効性については潰瘍面積の縮小効果,投与期間中の菌量の減少効果が認められた.現在,さらなる改変型ペプチド SR-0379 を用いた医師主導治験に向けた準備を進めており,糖尿病性潰瘍・下腿潰瘍などの慢性皮膚潰瘍への適応を視野に入れて研究開発を進めている.</p>

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