3歳児のスクリプト獲得過程:“朝の用意”場面の短期的縦断観察を通して

書誌事項

タイトル別名
  • An Observational Study on the Process of Script Formation in 3-Year-Olds
  • 3サイジ ノ スクリプト カクトク カテイ : "アサ ノ ヨウイ"バメン ノ タンキテキ ジュウダン カンサツ オ トオシテ

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抄録

<p>本研究では,3歳児がある行為系列を繰り返し経験するなかでスクリプトを獲得する過程を縦断的観察により明らかにすることを目的とした。特に,スクリプトの特徴である,入れ替わることのない不変順序と入れ替わりが可能な可変順序の区別と,行為系列の階層化に着目した。研究1では,新入園児12名が朝の用意に取り組む様子を2ヶ月間観察した。結果,約1ヶ月半でほとんどの子どもが不変順序,可変順序ともに園で教わった一定の順序で行為系列を実施していたが,約2ヶ月の時点では行為間の順序が可変的な場合,園で教わったのとは異なる順序で行為を実施する子どもが複数みられるようになった。研究2では,新入園児と学齢は同じものの前年度から通園している既入園児10名を対象に観察したところ,研究1と同様に可変順序の行為間のみ園で教わった順序で行為を実施しないものが複数いた。また,研究1・2を通して,予め園の先生により朝の用意系列をいくつかの行為のまとまりに分けてもらったところ,その行為グループ間の順序は園で教わった通り実施するのに対し,グループ内の行為間では可変順序の学習が進む傾向がみられた。以上より,園で教えられた順序通り行為系列を実施するようになった後,形成された行為グループに基づいて行為間の順序が不変か可変かを学習するというスクリプトの獲得過程が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 29 (2), 84-94, 2018

    一般社団法人 日本発達心理学会

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