「科学的精神」の修辞学

書誌事項

タイトル別名
  • The Rhetoric of the “Scientific Spirit”: The Hegemony of “Science” among Japanese Critics during the 1930s
  • 「科学的精神」の修辞学 : 一九三〇年代論壇の「科学」ヘゲモニー
  • 「 カガクテキ セイシン 」 ノ シュウジガク : イチキュウサン〇ネンダイ ロンダン ノ 「 カガク 」 ヘゲモニー
  • ――一九三〇年代論壇の「科学」ヘゲモニー――

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抄録

<p>一九三〇年代、日本の文壇・論壇において「科学的精神」という表現が広く流通していた。そこに充填される意味内容のずれを検討してみると、同時代の論壇・文壇・科学者共同体が、それぞれに「科学的精神」を一種の表現戦略として用いることで、みずからの知的基盤を仮構することに意識的であったことが窺われる。各々の意向は、多分に差異をはらみながらも、結果的に「科学」の権威が「科学的精神」という曖昧な価値尺度へと転化することに貢献していた。一九三五年前後に勃興した「偶然文学論争」もまた、互いに「科学的精神」の正統な理解を主張することで、「科学」の学術的知見を論者たちの世界認識の仕方と一直線に結び合わせようとする時代思潮の到来に、半ば共犯的なかたちでかかわっていた。</p>

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