日本人中高齢女性を対象とした内臓脂肪の分布と メタボリックシンドロームリスク因子との関係

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タイトル別名
  • Relationship between visceral fat areas at the different levels and metabolic syndrome risk factors in middle-aged and older Japanese women
  • ニホン ニンチュウ コウレイ ジョセイ オ タイショウ ト シタ ナイゾウ シボウ ノ ブンプ ト メタボリックシンドロームリスク インシ ト ノ カンケイ

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抄録

現在,我が国では,日本肥満学会により内臓脂肪型肥満の診断方法が設けられており,臍位(腰椎4番目−5番目:L4-L5)における内臓脂肪面積測定やウエスト周囲径測定がゴールドスタンダードとされている.しかし現在のところ,内臓脂肪蓄積の分布とメタボリックシンドロームリスク因子の関連を検討した研究は,これまでのところ極めて少ない.そこで本研究は,日本人中高齢女性を対象に磁気共鳴画像診断法でみた内臓脂肪面積の分布とメタボリックシンドロームリスク因子との関係について検討することを目的とした.本研究の被験者の内臓脂肪面積は,V-3(臍から3cm 下位)からV10(臍から10cm 上位)までの全ての部位においてObesity 群とNormal 群の間に有意な差が認められた(p<0.001).また,Normal 群とObesity 群の内臓脂肪面積の差の割合を検討したところ,上腹部ほど内臓脂肪面積が多かった.空腹時血糖は上腹部で全被験者とObesity 群において有意な相関がみられたが(Total:r = 0.44,Obesity:r = 0.41,p<0.05), 臍位では両者とも有意な相関はみられなかった.メタボリックシンドロームリスク因子保有数は全被験者およびNormal 群の上腹部において有意な関連が認められた.脈波伝搬速度(足首-上腕)はNormal 群の上腹部にのみ有意な関連があった(r = 0.39,p<0.05).HDLコレステロールは全被験者(r = -0.35,p<0.05)とObesity 群(r = -0.41,p<0.05)において上腹部で有意な負の相関がみられたが,臍位ではその関係はみられなかった.これらの結果から,先行的に日本人男性で示されてきたが,本研究において日本人中高齢女性においても,上腹部の内臓脂肪面積はメタボリックシンドロームリスク因子と有意に関連することが明らかとなった.

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