重症心身障害者におけるアレルギー性鼻炎に対するフェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン配合錠投与による異常行動の発現

  • 三枝 英人
    東京女子医科大学八千代医療センター 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 医師 東京都立北療育医療センター 耳鼻咽喉科 医師
  • 草間 薫
    東京都立北療育医療センター 耳鼻咽喉科 医師 東京女子医科大学病院 耳鼻咽喉科 医師
  • 小林 伸枝
    東京都立北療育医療センター 耳鼻咽喉科 医師 日本医科大学付属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 医師

書誌事項

タイトル別名
  • Crisis of unexpected abnormal behaviors after administration of fexofenadine hydrochloride / pseudoephedrine hydrochloride combination drug in the treatment of allergic rhinitis for the patients with severe motor and intellectual disabilities.
  • ジュウショウ シンシン ショウガイシャ ニ オケル アレルギーセイ ビエン ニ タイスル フェキソフェナジン エンサンエン ・ エンサン プソイドエフェドリン ハイゴウジョウ トウヨ ニ ヨル イジョウ コウドウ ノ ハツゲン

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抄録

鼻閉による鼻呼吸の障害は息苦しさとともに睡眠時無呼吸、不眠、日中の眠気などQOLに影響することが報告されているが、このことは重症心身障害者にとっても同様かそれ以上の問題である。最近発売された抗アレルギー薬であるフェキソフェナジン塩酸塩と交感神経α受容体作動薬である塩酸プソイドエフェドリンの配合錠(ディレグラ®)は鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎に対して有効であり、懸念される交感神経刺激作用による副作用の発現頻度は少なく安全と報告されている。しかし、今回、アレルギー性鼻炎のために高度の鼻閉を認めた重症心身障害者5名(周辺児を含む)に対して、同剤を投与したところ、3名に自傷行為、攻撃行動、突然走りだすなどの異常行動が出現した。これらの異常行動は同剤の中止により2日以内にすみやかに消失した。重症心身障害者においては、自律神経系の恒常性がきわめて不安定であり、健常者では問題ないとされる程度の交感神経刺激作用であっても異常行動が誘発される可能性が高いため注意が必要と考えられた。

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