<研究ノート>来たるべき多言語世界における日本語の翻訳発信のために

DOI 機関リポジトリ HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Research Note>For the Translation and Presentation of the Japanese Language in an Evolving Multilingual World
  • 来たるべき多言語世界における日本語の翻訳発信のために
  • キタル ベキ タゲンゴ セカイ ニ オケル ニホンゴ ノ ホンヤク ハッシン ノ タメニ

この論文をさがす

抄録

英語が現代世界の国際語となる中、言語の多様性を確保しようとする試みも、各所でなされている。単調な生物世界が生態学的に脆弱であるように、単調な言語世界も言語生態学的に脆弱であるに違いないという直感、また人類にとって言語の多様性が、コミュニケーションを妨げるデメリットではなく、表現の豊かさを拡げるメリットであるという実感を、少なからぬ人々が共有しているからである。諸言語が混在する現状を超えて、多様性と交流性とが並び立つ将来の言語世界は、多言語的かつ高度に翻訳対応的になるに違いない。日本語は、世界的に評価の高い文学作品だけでなく、人文社会系の分野でも豊かな「作品」を持ちながら、グローバルな英語化の波に曝され、とくに学術用語としては絶望的であるかのごとき扱いを、各方面で受けつつある。将来的な多言語世界で、日本語も重要な学術用語の一つとしての地位を確保するためには、一方では貴重な言語遺産を核心に保ちつつ、他方では、翻訳に適合的なインターフェイスとしての文体・書式を作るという、両面作戦を展開する必要がある。ここでは後者の課題に重点を置き、先行例を検討しつつ、ここ数年で急速に発展している機械翻訳の活用を含む、いくつかの戦略を考える。最後に、機械翻訳に人文系の対訳データ資料を提供するための、具体的な作業を提案する。

収録刊行物

  • 国際日本研究

    国際日本研究 11 73-88, 2019

    筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ