アルフレート・シュッツの社会科学の基礎づけに おける生世界概念の導入の契機と意義

書誌事項

タイトル別名
  • Alfred Schutz’s Foundation for the Social Sciences and the Motivation and Significance of His Introduction of the Concept of the Life-World
  • アルフレート・シュッツの社会科学の基礎づけにおける生世界概念の導入の契機と意義 : 生成から世界への内属へ
  • アルフレート ・ シュッツ ノ シャカイ カガク ノ キソズケ ニ オケル ナマ セカイ ガイネン ノ ドウニュウ ノ ケイキ ト イギ : セイセイ カラ セカイ エ ノ ナイゾク エ
  • From Becoming to Inherence in the World
  • 生成から世界への内属へ

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抄録

アルフレート・シュッツの生世界論は,社会学の研究対象領域の1 つを提示しているだけでなく,社会科学の意味を反省するための手がかりを与えている.本稿の問いは,シュッツにおいて生世界概念は何を契機として導入され,その結果彼の論理はどのように変わったのか,という点にある.その際,シュッツの社会科学の基礎づけのプロジェクトに含まれる2 つの問題平面を区別し,社会科学者もまた生を営む人間(科学する生)だという点に注目する.<br>1920 年代から30 年代初頭にかけての著作において,シュッツは生の哲学の着想に依拠しつつ,生成としての生を一方の極とし論理と概念を用いる科学を他方の極とする「両極対立」のモデルを採用していた.しかし体験の流れとの差分において科学を規定するという方法には,科学する生を積極的には特徴づけられないという困難があった.こうした状況でシュッツは生という概念の規定を見直し,生世界概念を導入したと解釈される.<br>生世界概念の導入によって,日常を生きる人間も科学に従事する人間も,世界に内属する生として捉え直された.私を超越し一切の活動の普遍的基盤をなす世界の中で,生は間主観性・歴史性・パースペクティヴ性を伴う.この観点からシュッツは科学する生を,科学の間主観的構造,科学的状況と科学の媒体としてのシンボルの歴史的成立,レリヴァンス構造による科学的探究のパースペクティヴ性という3 点によって特徴づけた.

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参考文献 (1)*注記

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