職業訓練の効果測定における脱落の影響

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タイトル別名
  • Attrition Bias for the Estimation of the Average Treatment Effect of Job Training on Wage
  • ショクギョウ クンレン ノ コウカ ソクテイ ニ オケル ダツラク ノ エイキョウ

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抄録

本研究では,「慶應義塾家計パネル調査(2004~2012年)」を用いて,職業訓練が賃金に与える効果に対して,サンプル脱落によるバイアスの影響を分析する.これまでの先行研究では,職業訓練の賃金への影響を測定する場合,内生性の問題を中心に,如何にして職業訓練の効果以外のものを統制し,純粋な平均処置効果を測定するかが重要視されてきた.本研究ではその点も考慮しつつ,サンプル脱落がもたらす影響についても検証した.職業訓練受講の内生性を考慮したInverse Probability Weighting Regression Adjustment 推定(IPWRA,Wooldridge 2007; 2010)と,加えて,脱落を考慮した,Inverse Probability Weightを用いて,内生性バイアスと脱落バイアスを推定すると,双方とも過大推計を招いていることが確認された.また両バイアスを比較すると,受講直後は前者の方が大きいが,徐々に後者の方が大きくなった.最後に,Lee Bounds 推定(Lee 2009)とIPWRA 推定とを比較すると,総じて前者の方が大きな値となった.この理由として,Lee Bunds推定における仮定(処置の無作為な割り付け)が満たされないことによる過大推定が考えられる.

収録刊行物

  • 経済研究

    経済研究 71 (1), 10-34, 2020-01-25

    岩波書店

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