自閉スペクトラム症者における非言語コミュニケーション

書誌事項

タイトル別名
  • Non-verbal communication in adults with autism spectrum disorder
  • 自閉スペクトラム症者における非言語コミュニケーション : 初対面者との会話時における表情とうなずき
  • ジヘイスペクトラムショウシャ ニ オケル ヒゲンゴ コミュニケーション : ショタイメンシャ ト ノ カイワジ ニ オケル ヒョウジョウ ト ウナズキ
  • Emotional facial expressions and head-nodding during conversations with strangers
  • 初対面者との会話時における表情とうなずき

この論文をさがす

抄録

<p>従来の研究より、ASD 者の表情変化の少なさが報告されてきたものの、先行研究の多くは主観的・抽象的な表情の評価法を用いており、具体的にどういった表情の要素が少ないのかは明らかになっていない。さらに、意図的に表情を作ることを求めた研究が多く、より日常生活に近い状況での検討が求められる。そこで本研究では、明らかな知的な遅れがないASD 者(20 名)が初対面者による自己紹介を聞く場面(Listen 条件)とその人物に対して自己紹介をする場面(Talk 条件)の表情の表出及びうなずきの頻度を解剖学的見地に基づいた表情分析法であるFacial Action Coding System(FACS)を用いて分析し、定型発達者による両場面の指標(20 名)と比較した。その結果、Listen 条件では、ASD 者は定型発達者と比べて笑顔に関連する顔面動作や会話の促進に関わる動きなどが少なかった。Talk 条件では、笑顔や眉の上昇といった発話を強調する顔の動作が定型発達者よりもASD 者は少なかった。また、Listen 条件のうなずきの頻度に関しても、ASD 者は定型発達者より少ないという結果が得られた。本研究により、従来の研究で指摘されてきたASD 者の表情表出の乏しさが笑顔及び会話のシグナルとしての表情の少なさに起因することに加え、うなずきの頻度も少ないことが明らかとなった。</p>

収録刊行物

  • 自閉症スペクトラム研究

    自閉症スペクトラム研究 17 (2), 5-13, 2020-02-29

    NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ