養鶏産業への実践的HACCP導入手順の実際

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タイトル別名
  • Procedure for introduction of practical HACCP in poultry industry
  • ヨウケイ サンギョウ エ ノ ジッセンテキ HACCP ドウニュウ テジュン ノ ジッサイ

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抄録

2020年より施行予定のHACCP制度化に際して,厚生労働省では事業者の規模に応じて「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」という2段階のアプローチを示す見通しである。後者は中小規模・零細企業などを対象とする考え方で,一般衛生管理を基本に業界団体が開発する手引書を参考にするなど,柔軟性(flexibility)を重視しながらHACCPに取り組むものである。しかし,HACCPを総論的に理解するだけでは「現場で機能するHACCP」にならず,机上の空論で終わってしまう。重要なのは各現場の実態に応じた“各論のHACCP”を作り上げることである(著者らは,この考え方を“実践的HACCP”と命名した)。実践的HACCPの根幹は,「適切なハザード分析の実施」とその結果として導き出される「危害リスト」である。現場では,危害リストで抽出された管理項目の1つひとつについて,日常のチェックリストで対応するか,SSOPで管理するか,CCPで管理するかを決定する。「危害リストの作成」と「ハザード分析」を適切に行うことが“実践的HACCP”の成功と失敗の分岐点となる。しかし,これらの作業は小規模の事業者にとっては大きな困難を伴う。そこで著者らNPO法人日本食品安全検証機構では,食鳥処理場やGPセンターとの協働で,小規模の食鳥処理場やGPセンターを想定した危害リストや衛生管理計画(一般衛生管理およびHACCP計画)の作成を試みた。これらのモデルは今後,養鶏関係の業界団体から手引書が刊行された場合でも対応できるように作成した。かつ,JVOでは,実際の現場での“実践的HACCP”の浸透を促進するためにe-ラーニングを活用した教育システムの開発にも尽力してきた。いずれも実際の現場で効果を上げていることから,今後,養鶏産業におけるHACCP普及・浸透に寄与するものと期待している。本稿ではこれまでの知見・取り組みを総括する。

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