北海道東部における乾乳軟膏の使用状況と分娩後の泌乳期乳房炎発生との関連性

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タイトル別名
  • The relationship between the use of antibiotics at drying off period and the occurrence of postpartum mastitis in eastern Hokkaido
  • ホッカイドウ トウブ ニ オケル カンニュウナンコウ ノ シヨウ ジョウキョウ ト ブンベン ゴ ノ ヒニュウキ ニュウボウエン ハッセイ ト ノ カンレンセイ

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抄録

乳用牛の乾乳期治療における乾乳軟膏の使用法は,薬剤耐性や抗菌薬低減を考える上で重要な問題である。欧州等では抗菌薬の使用を牛群や個体別に選択的に行っているが,日本は全頭全分房に抗菌薬を使用しているのが現状である。本研究では,乾乳軟膏の選択的使用の可能性を模索するため,乾乳軟膏使用率と分娩後の次期泌乳期間乳房炎発生率の関連性を調査した。北海道東部地域の酪農家1,579戸,乳用牛142,361頭から情報を得た。抗菌薬不使用農家数は181戸,低使用は65戸,中使用は150戸,高使用は1,183戸であった。各群の平均乳房炎発生率は,それぞれ46.4%,51.4%,55.1%,56.1%であり,不使用農家が最も低値となった。以上のことから,乾乳軟膏の利用が分娩後の乳房炎発生抑制に結び付くとは限らないことが示された。また,個体状態や飼養衛生管理が良好であれば,乾乳時に必ずしも抗菌薬は必要でないことが推察された。現在広く行われている全頭全分房への画一的な抗菌薬の使用は,今後は感染乳房だけを選択治療する方法へと見直す時期にきていると考えられた。

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