英語圏の人文地理学におけるメンタルヘルス研究の展開

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  • Development of Studies on Mental Health in Anglophone Human Geography
  • エイゴケン ノ ジンブン チリガク ニ オケル メンタル ヘルス ケンキュウ ノ テンカイ

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抄録

<p>英語圏の人文地理学では,1970年代からメンタルヘルスが研究テーマの一つとなってきた.本稿は,そうした研究の展開に注目し,研究の背景や論点,アプローチを整理するものである.戦後の欧米諸国における脱施設化に関心を寄せた地理学者たちは,近隣環境や公共サービス,福祉国家の再編の視点から,メンタルヘルスについての研究をスタートさせた.1990年代には,史資料や当事者の語りに依拠して,狂気の歴史や精神障がい者の「生きられた地理」を明らかにする研究が台頭した.それらの研究における精神障がい者のアイデンティティへの関心は,2000年前後になると,精神障がいというカテゴリーの内にある微細な差異を,感情や癒しの側面から検討する研究へと発展した.研究者の関心のシフトや,学際的な志向の強まりがみられる近年は,ジェンダーやエスニシティをはじめとする多様な差異との関連においてメンタルヘルスをとらえるアプローチが盛んとなりつつある.</p>

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