多発性骨髄腫における治療標的分子としてのToll様受容体CD180と骨髄微小環境

  • 菊池 次郎
    自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部
  • 古川 雄祐
    自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Toll-like receptor CD180 and the bone marrow microenvironment as therapeutic targets in multiple myeloma
  • タハツセイ コツズイシュ ニ オケル チリョウ ヒョウテキ ブンシ ト シテ ノ Toll ヨウ ジュヨウタイ CD180 ト コツズイ ビショウ カンキョウ

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抄録

<p>多発性骨髄腫の薬剤耐性獲得における骨髄微小環境の役割と機序の解明は重要な課題である。筆者らはストローマ細胞との接着時,転写抑制に働くヒストン修飾であるヒストンH3の27番目のリジンのトリメチル化抑制が耐性獲得の鍵となることを明らかにした。メチル化抑制はメチル化酵素EZH2のリン酸化を介した活性抑制によるものであった。下流ではアポトーシス抑制分子に加えて,細菌由来のリポ多糖(LPS)を認識するToll様受容体CD180の発現亢進が見られた。LPSはストローマ細胞との接着かつ低酸素下におけるCD180発現亢進に応じて増殖促進に働いた。また,CD180遺伝子が転写因子Ikarosにより転写活性化されること,lenalidomideがCD180発現抑制を介してLPSによる増殖を抑制することを明らかにした。LenalidomideにはCD180発現抑制により感染をきっかけとした病態悪化の予防を介した生存期間延長効果が示唆される。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 61 (7), 832-841, 2020

    一般社団法人 日本血液学会

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