大阪大学歯学部附属病院小児歯科における低ホスファターゼ症患者の実態調査

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  • Survey of patients with Hypophosphatasis in Department of Pediatric Dentistry at Osaka University Dental Hospital
  • オオサカ ダイガク シガクブ フゾク ビョウイン ショウニ シカ ニ オケル テイホスファターゼショウ カンジャ ノ ジッタイ チョウサ

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抄録

低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia;HPP)は遺伝性の骨系統疾患であり,主症状は「骨の石灰化障害」と「4歳未満の乳歯早期脱落」とされている.大阪大学歯学部附属病院小児歯科では2012年に骨系統疾患歯科専門外来を開設し,本学医学部附属病院小児科と連携してHPP患者の口腔管理を行ってきた.また,2015年からは歯科関係施設でのスクリーニングによって,医科領域に疑い症例を紹介することで早期診断につなげるというシステムの構築を目指してきた.今回,当科を受診しているHPP患者の実態調査を行うことで,これまでの活動を総括するとともに,これまでに知見の少ない歯限局型の症例に注目した解析を行うことにした.2015年4月から5年間に当科を受診したHPP患者を検索すると,24症例ほどが抽出され,そのうち約1/3を超える症例が,近隣の歯科医院から当科への紹介を経て診断に至っていた.このことから,本院周辺地域における早期スクリーニングシステムが構築されつつあることが示唆された.また,半数以上の症例において歯科症状が初発であることが明らかになった.さらに,すでに成長発育に問題を呈しているものの,診断に至っていなかった症例も存在していた.歯限局型の11症例は,それ以外のタイプの症例と比較して常染色体顕性(優性)遺伝形式をとるものが有意に多いことが明らかになった.また,診断時ALP値が有意に高く,正常値に近いことが示された.これまでに軽症型の知見は少ないことから,本研究で得られた知見を広く啓発することで,従来の早期診断システムの発展につなげていくことができると考えられる.

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