分子インプリントポリマーのin silico結合特性解析

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タイトル別名
  • In Silico Characterization of Binding Properties on a Molecularly Imprinted Polymer
  • ブンシ インプリントポリマー ノ in silico ケツゴウ トクセイ カイセキ

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抄録

<p>分子インプリントポリマー(Molecularly Imprinted Polymers,MIPs)は不安定な天然の受容体に代わる人工分子認識材料として注目されている.以前著者らはビスフェノールA(Bisphenol A,BPA)に対するMIPsを合成し,このMIPsがBPAだけでなくエストロゲンである17β-エストラジオールとも吸着を示すことを報告した.つまりこのMIPsはエストロゲン受容体に類似する結合特性を持つと言える.本研究では計算化学的手法により,化合物の立体構造からMIPsとの結合特性について解析を試みた.BPAを含む化合物群の最安定構造を算出し,相互作用原子の位置,ファンデルワールス体積,相互作用原子間距離,酸解離定数が吸着の強さと関係することが示唆された.また,化合物から計算された分子記述子を用いて,定量的構造物性相関解析によりリテンションファクターの予測モデルを導出したところ,計算値と実験値が高い相関を示す予測モデルの導出に成功した.吸着の強い7化合物から共通ファーマコフォアを抽出し,相互作用に重要な構造的要素を明らかにした.これらのモデルは,化合物のMIPsに対する結合の強さの予測だけでなく,実際の結合実験に入る前の候補化合物のスクリーニングへの活用,また逆解析的に,吸着の強い化合物の予測や設計への活用が期待される.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 70 (3), 111-124, 2021-03-05

    公益社団法人 日本分析化学会

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