Stand dynamics for 3 years in juvenile secondary hardwood stands in an experimental site for cutting by the seed-tree method and lateral weeding of the reserved central part

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  • 広葉樹林筋残し刈り試験地における幼齢天然生林の3年間の林分動態
  • コウヨウジュリンキン ノコシ カリ シケンチ ニ オケル ヨウレイテンネンセイリン ノ 3ネンカン ノ ハヤシ ブン ドウタイ

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Abstract

本研究の目的は,広葉樹林筋残し刈り試験地における2017~2020年の3年間の林分動態を解明することである。そして,解析結果から,除伐をいつ,どのように実施すれば良いかを検討した。2017年夏に,試験地内の林齢9,8,6年生林分に標準地を設定し,胸高直径を測定した。2018,2019,2020年の夏に,ナンバーテープを付した幹の胸高直径を再測した。樹高については,2017年測定幹を対象に,2020年夏に再測した。幹数に基づく相対優占度から,2020年時点で高木性広葉樹が7割前後を占めた。ただし,2020年時点における高木性広葉樹の本数密度は1633~2388本/haであり,岩手県民有林広葉樹林の林分収穫表地位1等の本数密度よりも少なかった。一方で,相対幹距は林齢とともに減少し,混み合い度は強まっていた。全林分で,上層樹高,平均胸高直径,林分胸高断面積は林齢とともに増加し,今後,林分成長に伴って,各林分で林木間競合がさらに激しくなると推察される。高木種における生存率は全般的に高かった。小高木種における生存率は,ヌルデ,エゴノキで高く,クサギやタラノキで低かった。胸高直径成長量を応答変数とするベイズモデルによれば,クリと他の樹種群を比較すると,他の樹種群の係数が負である確率は95.1~99.9%と極めて高く,クリが旺盛に胸高直径成長していることが確認された。ヌルデの係数平均値は,胸高直径の大きな主要樹種であるミズキやホオノキと同程度であった。また,樹高成長量を応答変数とするベイズモデルによれば,クリとそれ以外の高木種の樹種群を比較すると,クリ以外の樹種群の係数が負である確率は,89.5~100%であった。樹高成長についてもクリで旺盛であることが確認された。一方で,ヌルデの係数の平均値はクリに比べて0.21 m/3年大きく,ヌルデの係数が負である確率は35.5%と明らかに低かった。このことから,ヌルデは幼齢段階において高木性広葉樹の主な競合種になると考えられる。林冠表面に達したヌルデについては,筋残し刈り終了を待たずに,より早い段階(林齢5年頃)に除伐した方が良いと考えられる。他の先駆性小高木種であるクサギやタラノキについては,林冠表面に達した相対的に太い幹のみ除伐すれば良いだろう。

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