イチゴの東南アジア向け海上輸出実現に向けた輸送環境および包装による品質保持効果

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タイトル別名
  • Effect of environmental conditions and packaging on preservation of strawberries during maritime transportation
  • イチゴ ノ トウナン アジア ムケ カイジョウ ユシュツ ジツゲン ニ ムケタ ユソウ カンキョウ オヨビ ホウソウ ニ ヨル ヒンシツ ホジ コウカ

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抄録

イチゴの東南アジア向け海上輸送実現に向けたさらなる基礎的データの蓄積を目的に,輸送条件の異なるシンガポール向け輸出実証試験を実施し,各々の輸送環境データを得るとともに,輸送環境の違いが果実品質に及ぼす影響を検証した。また長期間の商品性維持を目標に,イチゴパックの密閉・準密閉型フィルム包装による品質保持効果を,輸出試験の場で確認した。温度制御可能な定温コンテナの活用により,輸送期間の大部分を占める海上輸送中の温度を安定維持できた。一方で,流通期間中の庫内湿度はイチゴの最適貯蔵湿度を下回っており,乾燥に対する対策が必要であると考えられた。また,コンテナの荷下ろし時を含む現地輸送時の温度変動幅が大きく,温度変化に伴う品温への影響が懸念された。さらに輸送中の衝撃の大部分は国内輸送時および現地輸送時に発生し,200ms-2以上の衝撃加速度も複数回発生していることから,緩衝包装を活用するなど,衝撃による物理的損傷発生に対する対策が必要であると考えられた。1℃および5℃設定下でイチゴを輸送した場合,1℃設定下では,かび,腐敗のいずれも発生しなかった。商用混載した5℃設定下では環境温度の実測値が7℃近傍で安定し,果実表面にかびや腐敗が発生した。イチゴパック毎にMA包装もしくは有孔包装を施すことで,包装内湿度が94~95%程度に維持され,輸送・貯蔵に伴う損傷,果実かたさ低下や質量減少を抑制し,東南アジア向け海上輸送で求められる出荷後2週間の商品性維持が実現した。今回の輸送条件ではMA包装,有孔包装による品質維持効果に有意な差は認められず,イチゴを海上輸送する際には有孔包装も選択肢の一つになり得ると考えられた。

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