Ultimate strength variations of structural steel members 鋼構造部材の極限強度の変動特性に関する研究

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著者

    • 伊藤, 義人 イトウ, ヨシト

書誌事項

タイトル

Ultimate strength variations of structural steel members

タイトル別名

鋼構造部材の極限強度の変動特性に関する研究

著者名

伊藤, 義人

著者別名

イトウ, ヨシト

学位授与大学

名古屋大学

取得学位

工学博士

学位授与番号

乙第2759号

学位授与年月日

1985-02-05

注記・抄録

博士論文

鋼構造部材の耐荷力問題は、古くから多くの実験的、理論的研究が行われており、各種の設計示方書にその成果が取り入れられている。近年、設計法の合理性を高めるため極限強度を基準にして、そのばらつきをも信頼性理論をもとにして取り入れられようとしている。この時、鋼構造部材の座屈現象に関する耐荷力問題を設計に十分精度よく取り入れるためには、基礎的な実験データが重要な役割を果たす。確率論的見地から行った実験的、理論的研究は、中心軸圧縮柱については、すでに2,3行われているが、鋼はりについてはこれまでほとんど行われていない。本論文では。鋼はりについて強度のばらつきに着目した3種の実験的研究と内外の実験データを収集評価したデータベースアプローチを行っている。さらに、鋼柱、鋼板については、内外の実験データを収集評価したデータベースを作成し、それをもとにして、ばらつきに着目した強度特性についての検討がなされている。本論文は、2編からなり、第1編は4章からなり鋼はりの横ねじれ座屈強度に関しての変動特性に着目した実験的研究を取り扱っており、第2編では、全体の結語を含めて5章からなり、内外の鋼構造部材に関する実験情報の数値データベースの作成と、これを利用した鋼構造部材の強度特性についての研究を取り扱っている。まず、第1章の緒論では、鋼はり、鋼柱、鋼板の耐荷力に関しての諸問題について、既往の研究について述べるとともに、本論文の目的と構成について示している。第2章では、圧延はりの横ねじれ座屈強度特性、とくにその変動性に与える要因を検討するための実験的研究を行った。25本の7m長の圧延H形鋼(H-200×100×5.5×8mm)の原材から、スパン長2.6m、2.0m、および1.5mの横ねじれ実験はりをそれぞれ切り出し、合計75本のはりについて両端単純支持、スパン中央集中載荷実験を行った。同時に、各はりの初期変形、材料強度および残留応力を測定し、横ねじれ座屈強度の変動との関連を検討した。また、既往の実験結果および設計基準強度曲線との比較を行った。ここで得られた結果は、次のようである。1)各々25本の3種の長さをもつ鋼はりの強度の変動係数は、スパンの長い方からそれぞれ0.74、0.048、0.045であり、スパンの長いものほどばらつきが大きい。2)鋼はりの横ねじれ座屈強度の変動性に最も大きな影響を与える要因は、実測の降伏点応力と断面寸法から計算した全塑性モーメントである。全塑性モーメントの影響は、細長比パラメータが大きくなると小さくなる。3)今回の実験はりにおいて、実測の全塑性モーメントで無次元化した最大モーメントは、無次元化していない最大モーメントの変動係数より24~45%小さくなり、その度合は、短い鋼はり程小さい。第3章では、溶接はりの横ねじれ座屈強度について、第2章で用いた実験装置と同じものを使って、実験的研究を行った。断面は、H-250×100×6×8mmであり、5.46mの34本の原材を溶接組み立てし、そこより2.6mと1.8mの実験はりを合計68体切り出した。同時に、圧延はりと同じように各はりの初期変形、材料強度および残留応力を測定し、横ねじれ座屈強度の変動との関連を検討し、圧延はりの結果と比較した。ここで得られた結果は、次のようである。1)溶接はりの横ねじれ座屈強度の変動性に最も大きな影響を与える要因は圧延はりと同様、実測の全塑性モーメントである。2)実測の全塑性モーメントで無次元化した最大モーメントの変動係数は、無次元化していない最大モーメントの変動係数より1.8~22.6%小さい。3)同一の荷重・境界条件の下では、溶接はりのほうが圧延はりに比べて平均強度が低く、また、ばらつきは大きい。第4章では、21体の2スパン連続ばりの横ねじれ座屈強度についての実験的研究を行い、第2章、第3章の単純ばりの変形特性、強度特性と比較している。実験に用いた断面は、第3章の溶接はりと同一のものを用い、荷重は、片側スパンの中央に集中載荷した。ここで得られた結果は、次のようである。1)2スパン連続ばりの横ねじれ座屈強度は、隣接スパンの拘束のため、単純ばりと1端単純他端固定のはりの強度の中間に位置している。2)連続ばりの強度を各種の有効長さを用いて評価を行い、実験から得られた圧縮フランジの水平曲率の変曲点が連続ばりの強度を評価する際に有効であることを明らかにした。3)連続ばりと単純ばりの強度の変動性は、本実験から見る限り差異はない。第5章では、鋼構造部材の実験情報のデータベースNDSSの作成とその構成について述べている。実験情報をデータベース化することによって、内外で行われた実験結果を統一的に扱うことができ、一般に膨大な労力と資源を必要とする実験の重複を避けることができるとともに実験の必要な範囲を明らかにすることができる。また設計示方書の改定の基礎的資料および理論研究者のための基礎データともなる。本章では、データベースの作成について述べたあと、引張試験から得られる鋼構造用鋼材の材料強度に関する実験情報の数値データベースを利用して種々の統計処理を行い、鋼構造用鋼材の材料強度特性を明らかにした。ここで得られた結果は、次のようである。1)鋼柱、鋼はり、鋼板の耐荷力および鋼構造用鋼材の材料強度に関する実験情報のデータベースを確立した。すでに、一部の実験情報に関する加工データは、内外の研究者に提供した。2)鋼構造用鋼材の材料強度に関する変動特性および適合分布曲線を実験データをもとに明らかにした。材料特性値の中で最も重要な定数である降伏点応力の実測値と公称値の比の平均値と変動係数は、それぞれ1.168と0.111である。また、その分布形は正に偏心している。第6章では、中心軸圧縮柱の強度特性について、1665体の実験データをもとに、種々の処理を行い、断面形状、製作方法、鋼種などにより、強度特性がどのように変わるかを明らかにした。また、ヨーロッパ、米国で提案されている複数設計曲線と実験データを比較し、その妥当性を検討した。その後、鋼柱を断面形状、製作方法、鋼種などにより、3つに分類し、各々に平均値曲線と下限を示す曲線を提案した。ここで得られた結果は、次のようである。1)各種の断面形状の鋼柱の中心軸圧縮強度を比較した結果、一般に、溶接のH形断面柱は、圧延のH形断面柱に比較して低めの平均強度と大きめのばらつきを有している。2)鋼柱の設計における複数設計曲線の適用の合理性を明らかにした。3)新しい分類の複数設計曲線を実験データにもとずき提案した。第7章では、鋼はりの横ねじれ座屈強度に関する検討を、544体の内外の実験データをもとに行った。鋼はりは、鋼柱と異なり一義的に強度を表すことができる形状パラメータがなく、多くのパラメータが強度に影響を与える。製作方法、断面形状、荷重・境界条件によって強度がどのように影響を受けるかを検討した。ここで得られた結果は、次のようである。1)鋼はりの耐荷力強度を評価する時、圧延はり、溶接はりに対しては、全塑性モーメント、プレートガーダーに対しては、降状モーメントで無次元化するとばらつきを小さく抑えることができる。2)溶接はりの横ねじれ座屈強度は、圧延はりに比べて低めの平均強度と大きなばらつきを有している。3)鋼はりを圧延はり、溶接はり、プレートガーダーの3つに分類し、各々について、実験データをもとに強度の平均値曲線と下限値曲線を求めた。第8章では、一様圧縮を受ける無補剛鋼板の座屈強度特性を793体の実験データをもとに求めた。無補剛鋼板の境界条件、残留応力および初期変形による強度特性の違いを明らかにした。ここで得られた結果は、次のようである。1)非載荷辺が単純支持の単一板と正方形箱形断面の板の平均強度に差はない。2)初期変形による鋼板の強度の低減を実験データから明らかにした。3)鋼板を残留応力のあるなしによって2つに分類し、各々について平均強度曲線と下限強度曲線を求めた。第9章は、結語であり、全体の要約と各章で得られた結論のうち重要なものを再記述し、その後、本論文の総括を行っている。最後に、本論文に関連した分野において今後の研究が必要な問題について述べている。

名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(工学) (論文) 学位授与年月日:昭和60年2月5日

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000013210
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000013218
  • 本文言語コード
    • eng
  • NDL書誌ID
    • 000000177524
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
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