オリオン座/一角獣座領域の分子流探査

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著者

    • 岩田, 隆浩 イワタ, タカヒロ

書誌事項

タイトル

オリオン座/一角獣座領域の分子流探査

著者名

岩田, 隆浩

著者別名

イワタ, タカヒロ

学位授与大学

名古屋大学

取得学位

理学博士

学位授与番号

甲第2134号

学位授与年月日

1989-02-25

注記・抄録

博士論文

分子流天体は、原始星(=生まれたばかりの若い恒星)の周囲の活動的なエネルギー放出現象であると考えられ、星の進化を解明する上で注目されている。一方、原始星は、周囲を覆う厚いダストのため、アイラス(lnfrared Astronomical Satellite)による全天の赤外線探査で、低温の赤外線点線(低温アイラス点源)として検出されていると考えられる。従って、分子流天体とアイラス点源との関係を統計的に調べることは、原始星の進化を理解する上で重要な手掛かりになる。そこで本研究では、活動的な星生成領域として知られているオリオン座/一角獣座領域の分子雲を、ミリ波分子スペクトルを用いた観測を行って、分子流天体を完全に検出することを試みた。この目的のため、まず、オリオン座北部/南部,一角獣座R 2 分子雲の各領域の合計20平方度については、名大4 メートル鏡を用いて、分子雲のはぼ全領域について分子流を隈なく探査した(無バイアス掃天探査) 。これによって単一領域の巨大分子雲中の分子流の完全なサンプルを得ることをめざした。次いで、オリオン座/一角獣座領域の600平方度のアイラス点源の中から、原始星の候補と考えられる低温アイラス点源を選出して、これら全部について分子流探査を行った(低温アイラス点源探査) 。これによって、低温アイラス点源と分子流天体の関係を、統計的に明らかにすることをめざした。さらに発見された分子流天体について、7イラス点源のスペクトルの特徴を調べ、これらと原始星のモデルとを比較することによって、原始星の進化を続計的に解明することを試みた。分子流の低温アイラス点源探査では、まずオリオン産/一角獣座領域の原始星の候補と考えられる低温アイラス点源を選出した。こうして選出された低温アイラス点源について、野辺山4 5 メートル鏡ならびにM W O 4.9メートル鏡を用いて分子流探査を行った。これらの観潮の結果、オリオン座/一角獣産額域では、合計22個の分子流天体を新たに発見し、この領域の分子流天体の数は、合計35個になった。これによって、単一領域の巨大分子雲中の分子流天体について統計的な議論を行う上で意味のある完全なサンプルが、はじめて得られた。これらの分子流の多くは、分子雲中の最も高密度であると考えられる、分子柱密度が5 ×10^21cm^-2以上の領域に位置している。また、分子流天体を伴うアイラス点源のスペクトルを、二色図(12, 25, 60μmの各flux density から決められる色温度の相関図)の上で調べてみると、これらのうちの25μmと60μmで有意に検出されている点源31個は、全て相対的に低い色温度を持つことがわかる。分子流天捧を伴うアイラス点源をH R図(赤外線光度と色温度を用いて推定したダストの温度の相関図)の上で詞べた結果、これらのアイラス点源は、低温(<160 K)でかつ相対的に大きな光度(>10L◎ )を持つことがわかる。とりわけ、オリオン座南部分子雲・オリオン座北部分子雲の2領域では、ダストの温度が160K以下でかつ光度が10L◎ 以上のアイラス点源において、分子流の検出率は70-80%に達し、これは本研究以前の分子流探査による検出率(30%程度以下)と比べて非常に高い。この結果から、分子洗天体は低温のダストに覆われた原始星に付随していることが、はじめて続計的に示されたといえる。次に、分子涜を伴うアイラス点源がH R図上で占める範囲とStahler, Shu, and Taam (1980)によって示された原始星モデルによる、原始星表面からの輻射のH R図上での進化の径路とを比較した。その結果、分子流は原始星の初期の段階、すなわち原始星コアへの質量降着が生じてから10^4 -10^5 年程度の原始星とよい対応が見られ、これらの分子流について推定した年齢(2 ×10^4 - 2 ×10^5 年)と同程度まである。このことは、分子流の発生の時期が、原始星への質量降着の開始時期とほぼ一致していることを示しており、分子流の加速・収束の機構が、質量降着と密接に関係していることが示唆される。本研究では、初めて野辺山4 5 メートル鏡とM W O 4.9メートル鏡の分子スペクトルデータを大量に処理する必要が生じた。また、初めて広域のC O分子スペクトルデータと大量のアイラス点源との比較を行う必要が生じた。このため、これらの処理を効率よく行うために、名古屋大学大型計算機センターにおけるデータ変換・処理システムを開発した。これによって、これらの分子スペクトルならびにアイラス点源のデータと名大4 メートル鏡のデータとの比較を行うなどの、総合的なデータ整約が可能になった。分子流天体は、低密度のガスが高速で噴出している現象である。従って、分子流からの微弱な電波を検出し、その質量・エネルギーなどの物理諸量をよい精度で評価することは困難である。とりわけ本研究以前の研究における計算の方法では、例えば、分子流の低速度成分の質量の見積りか過大であり、その結果エネルギーの見積りも過大になる等の問題があることが明らかになった。本研究では、これらの物理諸量をより正確に推定するために、今までの計算の方法を見直し、新しい方法を用いて分子流天体の物理請量を再評価した。

名古屋大学博士学位論文 学位の種類 : 理学博士(課程) 学位授与年月日 : 平成1年2月25日

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000052135
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000052251
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000000216449
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
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