画像データ圧縮のための変換符号化法に関する研究

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    • 沢見, 英男, 1949- サワミ, ヒデオ

Bibliographic Information

Title

画像データ圧縮のための変換符号化法に関する研究

Author

沢見, 英男, 1949-

Author(Another name)

サワミ, ヒデオ

University

岡山大学

Types of degree

学術博士

Grant ID

甲第951号

Degree year

1991-03-28

Note and Description

博士論文

近年,総合ディジタル通信網(ISDN )の進展に伴い,またハードウェア技術の急速な進歩にも支えられて,画像データ圧縮技法,すなわち高能率符号化に関する研究が内外各所で行われている.濃淡画像データは,一般に膨大な情報量となるから原画像と符号化画像巻の誤差および視覚的差異の少ない,高能率でしかも高速に実行できる,符号化の技法の開発が是非とも必要である.本論文で取り級うのは,モノクローム濃淡静止画像データの圧縮技法である.静止画像符号化の技法は,いわゆるフレーム内符号化と呼ばれるもので,(1)予測符号化法,(2)変換符号化法,および(3)ベクトル量子化法に大別できる.いずれの技法も,濃淡画像では隣接画素間の画素値の差が平均的には少なく,冗長性をもっているという, 統計的性質を利用してデータ圧縮を行うが,現在のところ, 計算量が中規模で符号化能率の優れている(2)の変換符号化法を,画像符号化装置に利用するのが良いと考えられる.実際,国際標準として,変換.符号化法の1つである離散コサイン変換(DCT)符号化法が,現在の技術段階で最有力視されている.しかし一方では,DCT法よりも高速に実行でき,符号化能率が高く,良好な画質の得られる変換符号化法の開発も望まれている.本論文は,この変換符号化法の実行速度,符号化能率,および画質の改善に関して,筆者が行った研究をまとめたものであり,計2編からなっている.第1編は,DCT法より高速に実行でき,しかも同等以上の符号化特性をもつ,変換符号化法に関し行った研究をまとめたものである.演算量を低減して高速化を図り,かつ符号化能率を向上させるにはサンプリングにより標本点数を削減させることが効果的である.そこで,斜め方向に対しては解像度が低下するという人間の視覚特性を利用して,画像を菱形状に帯域制限してオフセット標本化を行い,画像データを1/2に削減する.次に,通常のDCTおよびその同類である対称コサイン変換(SCT)が,対象とする信号例を鏡映的に折り返した信号列に対する離散フーリエ変換(DFT)であるという考えに基づき,オフセット標本化離散コサイン変換(OSCT)を導出する.OSCT法は,通常の正方格子DCT法に対し,変換長が1/2のDCTとSCTにより構成できることから高速に実行でき,例えば,ブロックサイズ8ライン×8画素のDCT法に対応する本法では,変換に要する乗るmpり乗るのるノルさ乗算回数が1/4と大幅に減少することを示す.さらに,計算機シミュレーション実験により両者の符号化能率の比較を行い, 本法は高い符号化能率を有することを示す.しかし, 撮像画像を菱形状に帯域制限し,さらに画像の表示をもとの正方格子上で行う必要があるため,2回のローパスフィルタリングが必要となり,OSCT法の演算上のメリットは若干失われる.一方,画像は一般に撮像系で円形状に帯域制限されており,この場合正3角格子標本化を行って,標本点数を13.4%削減できる.正3角格子画像データにもOSCT法がそのまま適用でき,表示はそのまま正3角格子上で行えば,オフセット標本化の場合のようなローパスフィルタは不要となる.この正3角格子OSCT法は,通常の正方格子DCT法に対し,符号化特性はほぼ同等であるが,変換に要する乗算量は約1/ 2 で済むことを示す.第2編では第1編とは異なる考え方から,DCT法で低レート符号化時に見られる,ブロック境界での再生画像の値が不連続となることに起因する,ブロックひずみを低減し,しかも高速な変換符号化法についての研究をまとめている.ブロックひずみを低減することを目的として最近,周波数分析・合成器の考え方から導出される重複ブロック変換(OBT)法が提案されている.空間座標の原点を標本点間の中点にとった周波数分析・合成器として導出されるこのOBT法は,処理の主要部が通常タイプでないDCTとなるため, 通常タイプDCTより演算量が増加する.そこで本論文ではまず,空間座標の原点を標本点上にとることにより,通常タイプDCTを処理の主要部とする重複ブロック離散コサイン変換(OBDCT)法を導出する.OBDCT法は従来のOBT法と同等の符号化能率をもち,変換長8で変換長16のDCT法の符号化能率と同等であることを示す.更にまた,本法のブロック重複処理と変換処理を統合・簡略化した高速OBDCT法を導出する.高速OBDCT法は,上述の変換長のもとで,高速OBT法の55%,高速DCT法の67%の乗算回数で実行できるととを示す.最後に,上のOBDCT法を2次元符号化に拡張し,標準画像を用いた計算機シミュレーションを通じて,符号化能率の向上とブロックひずみの低減を実証する.

Table of Contents

  1. 目次 / p4 (0005.jp2)
  2. 関連発表論文 / p7 (0006.jp2)
  3. 序論 / p8 (0007.jp2)
  4. 序論参考文献 / p12 (0009.jp2)
  5. 第1編 画像のサブサンプリングによる変換符号化法の高速化 / p1 (0011.jp2)
  6. 第1章 緒論 / p1 (0011.jp2)
  7. 第2章 正方格子状に標本化した画像の変換符号化法 / p3 (0012.jp2)
  8. 2.1 緒言 / p3 (0012.jp2)
  9. 2.2 1次元離散コサイン変換(DCT)と対称コサイン変換(SCT) / p3 (0012.jp2)
  10. 2.3 SCT符号化法 / p6 (0014.jp2)
  11. 2.4 SCT符号化におけるブロック分割法 / p7 (0014.jp2)
  12. 2.5 2次元符号化への拡張 / p9 (0015.jp2)
  13. 2.6 演算量の比較 / p12 (0017.jp2)
  14. 2.7 レートーひずみ特性 / p16 (0019.jp2)
  15. 2.8 計算機シミュレーション実験 / p20 (0021.jp2)
  16. 2.9 結言 / p25 (0023.jp2)
  17. 第3章 オフセット標本化離散コサイン変換符号化法 / p26 (0024.jp2)
  18. 3.1 緒言 / p26 (0024.jp2)
  19. 3.2 オフセット標本化離散コサイン変換(OSCT)の導出 / p26 (0024.jp2)
  20. 3.3 0SCTを用いた符号化法 / p35 (0028.jp2)
  21. 3.4 高速アルゴリズム / p36 (0029.jp2)
  22. 3.5 結言 / p39 (0030.jp2)
  23. 第4章 演算量と符号化能率の比較 / p40 (0031.jp2)
  24. 4.1 緒言 / p40 (0031.jp2)
  25. 4.2 演算量の比較 / p40 (0031.jp2)
  26. 4.3 計算機シミュレーション実験 / p45 (0033.jp2)
  27. 4.4 結言 / p54 (0038.jp2)
  28. 第5章 結論 / p55 (0038.jp2)
  29. 第1編参考文献 / p56 (0039.jp2)
  30. 第2編 画像の変換符号化法におけるブロックひずみの低減 / p58 (0040.jp2)
  31. 第1章 緒論 / p58 (0040.jp2)
  32. 第2章 周波数分析・合成器とそれらの解釈 / p60 (0041.jp2)
  33. 2.1 緒言 / p60 (0041.jp2)
  34. 2.2 周波数分析・合成器 / p60 (0041.jp2)
  35. 2.3 分析・合成の離散コサイン変換としての解釈 / p64 (0043.jp2)
  36. 2.4 結言 / p64 (0043.jp2)
  37. 第3章 1次元重複ブロック離散コサイン変換法 / p66 (0044.jp2)
  38. 3.1 緒言 / p66 (0044.jp2)
  39. 3.2 ローパスフィルタの制約条件 / p66 (0044.jp2)
  40. 3.3 FIRローパスフィルタ / p69 (0045.jp2)
  41. 3.4 重複ブロック離散コサイン変換の導出 / p70 (0046.jp2)
  42. 3.5 各種符号化法のレートーひずみ特性 / p76 (0049.jp2)
  43. 3.6 高速アルゴリズム / p78 (0050.jp2)
  44. 3.7 演算量の比較 / p85 (0053.jp2)
  45. 3.8 結言 / p88 (0055.jp2)
  46. 第4章 2次元符号化への拡張と画像符号化への適用 / p89 (0055.jp2)
  47. 4.1 緒言 / p89 (0055.jp2)
  48. 4.2 2次元符号化への拡張 / p89 (0055.jp2)
  49. 4.3 各種符号化法の再生画像 / p94 (0058.jp2)
  50. 4.4 結言 / p98 (0060.jp2)
  51. 第5章 結論 / p99 (0060.jp2)
  52. 付録1 各種タイプの離敗コサイン変換 / p100 (0061.jp2)
  53. 付録2 重複ブロック変換法の導出 / p101 (0061.jp2)
  54. 付録3 0BT法の高速化 / p104 (0063.jp2)
  55. 第2編参考文献 / p109 (0065.jp2)
  56. 謝辞 / p110 (0066.jp2)
2access

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    500000074395
  • NII Author ID (NRID)
    • 8000000991860
  • DOI(NDL)
  • Text Lang
    • jpn
  • NDLBibID
    • 000000238709
  • Source
    • Institutional Repository
    • NDL ONLINE
    • NDL Digital Collections
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