無罪の発見 : 証拠の分析と判断基準
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著者
書誌事項
- タイトル
-
無罪の発見 : 証拠の分析と判断基準
- 著者名
-
渡部, 保夫, 1929-2007
- 著者別名
-
ワタナベ, ヤスオ, 1929-2007
- 学位授与大学
-
北海道大学
- 取得学位
-
博士 (法学)
- 学位授与番号
-
乙第4160号
- 学位授与年月日
-
1992-12-25
注記・抄録
博士論文
資料形態 : テキストデータ プレーンテキスト
コレクション : 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
目次
- 目次
- I
- 1 自白の信用性の判断基準と注意則
- はじめに
- 第一章 裁判例等に現れた自白の信用性の判断基準
- 第一 自白内容が他の証拠から確認された客観的事実と矛盾(合致)するかどうか
- 第二 真犯人であれば容易に説明することができ又は言及するのが当然と思われるような証拠上明らかな事実について、説明の欠落があるか
- 第三 犯人しか知り得ない秘密の暴露が含まれているか
- 第四 犯人でなければ語ることができないような実感(臨場感)を伴った体験供述が含まれているか
- 第五 自白の真実徴表
- 第六 逮捕後短時間内の自白かどうか
- 第七 自白が安定し一貫しているか、又は変転動揺が著しいか
- 第八 自白の虚偽徴表
- 第九 自白が「事件を囲繞し、かつこれと併存する諸状況」と矛盾し又は不調和の関係にあるか
- 第二章 自自の信用性の判断に関する一般的な注意則
- 第一 自白における信用性の減殺又は増強事由の現れ方の強弱と事案の特殊性
- 第二 自白と他の証拠との相互関係―自白の暗示的影響力について―
- 第三 被告人の全供述史の再現とそのフォロー
- 第四 自白内容についての実験的トレース
- 第五 自白の動機・原因についての考察
- 第六 自白の信用性の判断と被告人の人物、性格に対する洞察、拘禁中の被疑者の異常心理に対する洞察
- 第七 自白と弁解供述との比較による自白の信用性判断の当否
- 第八 自白と補強証拠との総合認定
- 文献一覧表
- 裁判例一覧表
- 2 犯人識別供述の信用性に関する考察
- はじめに
- 第一 犯人識別供述の一般的信用度
- 一 一般的信用度
- 二 実験、報告など
- 三 多数の証人による識別は安全か
- 第二 犯人識別供述の信用性が争われたわが国の裁判例
- 一 信用性が肯定された例
- 二 信用性が否定された例
- 三 その他
- 第三 犯人識別供述の誤りの原因
- 一 人の観察力、記憶力
- 二 容貌の漠然性
- 三 暗示
- 四 にせ記憶
- 五 複雑面接はつねに公正か
- 六 犯人的イメージ
- 第四 誤った犯人識別供述が行なわれやすい場合
- 一 容貌上の相似点がある場合
- 二 異人種
- 三 平凡な容貌
- 四 有意的注意を向けなかったとき
- 五 夜間の目撃
- 六 短時問の目撃
- 七 恐怖、驚がく、狼狽下の目撃
- 八 時間的隔り
- 九 証人に強い暗示が作用したと考えられる場合
- 第五 犯人識別供述の信用性に関する危険のシグナル
- 一 以前に別人を識別したこと
- 二 自信がない旨の表明
- 三 遅れた申告
- 四 容貌を具体的に述べないこと
- 五 全体的印象しか述べないとき
- 六 報道などによる想定
- 七 詳細すぎる描写
- 八 顕著な特徴の見落し
- 九 描写と実際の容貌とのくい違い
- 一〇 識別の根拠の変遷
- 一一 他の証人の識別不能
- 一二 幼児、老人、婦人
- 一三 迎合的証人
- 一四 プライドの高い証人
- 一五 正常者で好条件でも
- 第六 既知の人物を対象とする識別供述
- 第七 証人の確信的態度
- 第八 声の同一性の確認について
- 第九 司法の過誤を防止するための訴訟法上の措置
- 一 オリジナルな描写の確保
- 二 複雑面接の方式
- 三 面接と弁護人の立会
- 四 証拠開示
- 五 写真による面割り
- 六 質の吟味と補強証拠の要求
- 七 アリバイの立証など
- 八 法律家と心理学者との協力
- 第一〇 誤起訴・誤判の原因としての犯人識別供述
- 一 なぜ犯人識別供述は信用されやすいか
- 二 事実認定、捜査における注意則
- 三 犯人識別供述の取扱いなどに関する規則の制定の必要
- 文献、略語
- 3 状況証拠の評価と事実認定
- はじめに
- 第一 状況証拠一般に共通するいくつかの命題
- 一 証拠構造のゆがみと事件の筋
- 二 わずかな状況証拠で有罪を認定することの危険
- 三 欠陥のある直接証拠と不十分な状況証拠で有罪を認定することは危険
- 四 被害者側の供述だけで有罪を認定することは危険
- 五 無罪向方の状況証拠を無視することの危険性
- 六 起訴事実が真実なりとすれば存すべかりし犯罪の痕跡がない場合
- 七 いわゆる"つっかえ捧"の状況証拠
- 八 状況証拠が多数あるのに、なおかつ無実
- 第二 状況証拠の欠陥の指摘について
- 一 個々の状況証拠の信用性の吟味
- 二 いくつかの状況証拠から一定の命題を推理する過程
- 第三 状況証拠の発見方法など
- 一 状況証拠の分類
- 二 犯行像、犯人像
- 三 実地観察、実験的トレース
- 四 証拠構造のゆがみ
- 第四 仮説の設定について
- 一 歴史的再構成による潜在証拠の発見
- 二 記憶の変容の仮説
- 三 偽証、錯覚、証拠の偽造・変造の仮説
- 四 消去法による論証
- 五 特定の証拠の除外的観察方法
- 六 法廷に現れない無罪証拠
- 第五 その他の問題
- 一 性格、心情に関する証拠
- ニ アリバイの証拠
- 三 無罪意識の状況証拠
- 四 無罪証拠は有罪証拠の中にひそんでいる
- II
- 4 冤罪事件を見る目 -米谷事件を素材にして-
- はじめに
- 一 事件の経過と証拠
- 二 なぜ裁判所は有罪にしたか
- 三 真犯人の名乗りで
- 四 再審請求と国家賠償訴訟
- 五 誤判の原因
- 六 誤判を回避できなかったか?
- 七 冤罪の構造
- 参考資料 米谷事件の自白調書の抜粋
- 5 年少者の証言など 一板橋強制わいせつ事件上告審判決について一
- 6 いわゆる共犯者の自白をめぐって 一山中事件上告審判決について一
- III
- 7 虚偽自白と弁護活動
- 一 自白の虚偽件の論証
- 二 自白の信用性の判断基準の適用について
- 8 公判廷における自白の信用性
- 一 公判廷における虚偽自白の諸例
- 二 なぜ公判廷で虚偽の自白をするのか
- 9 被疑者尋問のテープ録音制度 一圧迫的な取調べ、誤判、裁判遅延の防止手段として一
- はじめに
- 一 イギリスにおけるテープ録音制度の導入に関する議論の経過
- ニ テープ録音制度の捜査および公判審理に及ぼす影響ーG・ウィリアムズ教授の所説ー
- 三 テープ録音制度をわが国で採用した場合における効用
- 四 わが国でテープ録音制度を採用した場合、被疑者の取調べは困難に陥るか
- 五 テープ録音制度の導入に関し考慮すべき問題点
- 六 結び
- 10 職業裁判官と事実認定
- はじめに
- 一 陽の目を見ない誤判の存在
- 二 誤判と職業裁判官
- 三 裁判官の「考え方・態度」に影響する諸要因
- 四 誤判の防止
- あとがき
- 事項索引