コーヒー酸とその構造類似体および漢方方剤の活性酸素に対する抑制作用と作用機作 コーヒーサン ト ソノ コウゾウ ルイジタイ オヨビ カンポウ ホウザイ ノ カッセイ サンソ ニ タイスル ヨクセイ サヨウ ト サヨウ キサ

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著者

    • 大西, 基代 オオニシ, モトヨ

書誌事項

タイトル

コーヒー酸とその構造類似体および漢方方剤の活性酸素に対する抑制作用と作用機作

タイトル別名

コーヒーサン ト ソノ コウゾウ ルイジタイ オヨビ カンポウ ホウザイ ノ カッセイ サンソ ニ タイスル ヨクセイ サヨウ ト サヨウ キサ

著者名

大西, 基代

著者別名

オオニシ, モトヨ

学位授与大学

徳島大学

取得学位

博士(薬学)

学位授与番号

乙第1660号

学位授与年月日

1999-01-15

注記・抄録

博士論文

資料形態 : テキストデータ プレーンテキスト

コレクション : 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文

本研究では植物に含有されるフェノール性物質に注目し、活性酸素に対する作用の検討を行った。特にトリプトファンとコーヒー酸がアミド結合した化合物であるCaffeoyltryptophanについては、本研究がはじめて生理活性を報告し、活性酸素に対する作用とその作用機作について考察を行った。その結果、強力なラジカル不活化作用、O⁻₂の不活化作用、リノール酸ミセルの脂質過酸化抑制作用、赤血球の脂質過酸化および溶血抑制作用を認め、また、Caffeoyltryptophanの示す抗酸化作用が強力なラジカル捕捉作用に基づくことを示した。Caffeoyltryptophanの示す抗酸化作用は代表的な抗酸化剤であるall-rac-α-トコフェロールと同程度であった。同様に、コーヒー酸とその構造類似体について検討した結果、コーヒー酸、クロロゲン酸および3,5-Dicaffeoylquinic acid(3,5-DCQA)に強力なラジカル不活化作用、O⁻₂の不活化作用、リノール酸ミセルの脂質過酸化抑制作用、赤血球の脂質過酸化および溶血抑制作用を認めた。3,5-DCQAはall-rac-α-トコフェロールより強力なラジカル不活化作用を示し、コーヒー酸、クロロゲン酸はall-rac-α-トコフェロールより強力な脂質過酸化および溶血抑制作用を示した。また、クロロゲン酸に四塩化炭素により誘導されるin vivoにおける脂質過酸化の抑制作用を認めた。電子顕微鏡による観察から、脂質過酸化により赤血球は破壊され溶血が起こることを明らかにし、コーヒー酸が脂質過酸化抑制により赤血球の形状を維持し、強力に溶血現象を抑制していることも明らかにした。さらに、コーヒー酸、クロロゲン酸および3,5-DCQAの示した作用が、強力なラジカル捕捉作用に基づくことを明らかにした。トリプトファンが今回の実験系においてはまったく活性を示さなかったことと、コーヒー酸を2個もつ3,5-DCQAが最も強力な活性を示したことからコーヒー酸構造類似体の示すラジカル不活化作用の機序を示し、コーヒー酸類がラジカル反応の開始反応および連鎖反応の抑制により溶血、肝障害などを防御することを示した。生薬の欝金に含まれ、フェルラ酸、桂皮酸およびp-クマル酸が構成成分であるクルクミノイドが赤血球の脂質過酸化抑制作用を示すことを明らかにした。しかし、フェルラ酸、桂皮酸およびp-クマル酸には赤血球の脂質過酸化抑制作用も、四塩化炭素により誘導されるin vivoにおける脂質過酸化の抑制作用も認められなかった。このことから、コーヒー酸類とは異なり、クルクミノイドはフェルラ酸とは作用機序が異なることが示唆された。 漢方薬は成人病や婦人病などでその役割が強く求められているが、それらの疾患には活性酸素が関与すると言われている動脈硬化や血管障害などの疾患が多いことから、治療に用いられている漢方薬の効能と含有する抗酸化成分とは無縁ではないと考えられる。活性酸素が発症に関与していると言われている糖尿病の治療薬である八味地黄丸、白虎加人参湯にラジカル不活化作用、赤血球の脂質過酸化が関与している瘀血症の治療薬である桃核承気湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散にラジカル不活化作用、O⁻₂の不活化作用、赤血球の脂質過酸化および溶血抑制作用を認めた。桃核承気湯、桂枝茯苓丸の示す作用がラジカル捕捉作用に基づいていることを明らかにした。

目次

  1. 論文目録
  2. 論文内容要旨
  3. 目次
  4. 第1章 緒言
  5. 第2章 コーヒー酸とその構造類似体の活性酸素に対する抑制作用と作用機作
  6. 2.1.序論
  7. 2.2.実験材料
  8. 2.3. DPPHラジカルの不活性化
  9. 2.4. O₂⁻の不活性化
  10. 2.5.リノール酸ミセルのO₂⁻依存性脂質過酸化に対する抑制作用
  11. 2.6. H₂O₂による赤血球の脂質過酸化および溶血に対する抑制作用
  12. 2.7. CCl₄による肝脂質過酸化に対する抑制作用
  13. 2.8.考察
  14. 第3章 漢方方剤の活性酸素に対する抑制作用
  15. 3.1.序論
  16. 3.2.実験材料
  17. 3.3. DPPHラジカルの不活性化
  18. 3.4. O₂⁻の不活性化
  19. 3.5. H₂O₂による赤血球の脂質過酸化および溶血に対する抑制作用
  20. 3.6. H₂O₂に対する分解作用
  21. 3.7. ・OHに対する消去作用
  22. 3.8.考察
  23. 第4章 総括
  24. 4.1.コーヒー酸とその構造類似体の抑制作用と作用機作
  25. 4.2.漢方方剤の抑制作用
  26. 謝辞
  27. 引用文献
  28. 付記
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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500002083191
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000002647243
  • DOI(NDL)
  • 本文言語コード
    • und
  • NDL書誌ID
    • 000000333929
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
    • NDLデジタルコレクション
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