水中トレーニング装置の開発とその有効性の検証 Development of underwater training machines and the verification of their effectuality

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著者

    • 金, 相培 キム, サンベイ

書誌事項

タイトル

水中トレーニング装置の開発とその有効性の検証

タイトル別名

Development of underwater training machines and the verification of their effectuality

著者名

金, 相培

著者別名

キム, サンベイ

学位授与大学

九州芸術工科大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

甲第36号

学位授与年月日

2000-03-17

注記・抄録

博士論文

運動不足は健康に大きな悪影響を与え,現代の生活習慣がもたらした大きな問題として関心を呼んでいる。最近,運動によって健康・体力を保持・増進しようという考えが国民の間に広く深く浸透してきた。なかでも水中運動は陸上での運動に比べ,関節の負担が少なく,水の浮力を利用して運動ができるため障害をもっている者の運動や肥満者,中高年および低体力者に対する運動療法あるいは手術後のリハビリテーション運動として期待されている。 / 水中での運動療法は絶大な効果があるにもかかわらず,プールの設備が大がかりであることや,維持管理費に問題があるために敬遠されがちである。したがって,現在,適切な水中運動の機器の開発が望まれている。そこで本研究では,前述のような問題点を解決するため,水の抵抗を利用した水中自転車エルゴメータと,一定の負荷条件設定が可能な水中筋トレーニング装置を開発し,それらの有効性を検証することを目的とした。 / 今回開発した水中自転車エルゴメータは,下肢のみを運動させるだけではなく,上肢のみ,或いは四肢を同時に運動させることが可能な装置である。自転車エルゴメータの負荷は,羽根車が水中で回転するとき羽根にかかる水の抵抗によって発生する。装置の外形寸法は高さ1270mm,幅500mm,奥行き850mm,総重量が約25kgである。このエルゴメータの特徴は羽根車がクランクシャフトに取り付けられていることと,ハンドル部分が可動式になっている点である。このハンドルは前後方向に往復運動するように製作されている。ペダルを踏み,下肢で回転させるクランクと,上肢で前後に往復運動させるハンドルは左右がそれぞれリンクしている。左右のハンドルは同位相で運動するのではなく,半周期ずれた運動をする。つまり左右のハンドルは同時に前後するのではなく,右のハンドルが前にあるときは自動的に左のハンドルが後ろにある。この装置を用い,実験プールで運動負荷を5段階に設定し,被験者を肩まで水浸させ,上肢のみの運動,下肢のみの運動,四肢運動の条件下で最大酸素摂取量,心拍数,自覚的運動強度を測定した。 / 四肢運動では回転速度が速い60rpm以上で下肢運動より高い酸素摂取量と心拍数を示した。自覚的運動強度では四肢運動が下肢運動,上肢運動と比べて心理的負担が少なかった。これらの結果から,四肢運動が呼吸循環系に対して効果が大きいのに対し,運動による心理的負担は比較的軽いことが示された。 / 水中筋トレーニング装置の外形寸法は高さ1000mm,幅820mm,奥行き1300mmの大きさで,総重量は約30kgである。この装置はフットプレートを前方に押すと,アームに取り付けられたピストンの中にある弁ボールが水の吸入口を埋め,ピストンがシリンダー中の水を押し上げ,負荷調節機構の穴を水が通ることによって負荷を生成し,水は出口から流れていく。フットプレートを元の位置の方へ戻すにつれて,シリンダー下端部にある水の入口から入り込んだ水は,ピストンヘッド部にある水の吸入口を通って弁ボールを押し上げ,水の通過経路からシリンダの中に水が入り,元の状態に戻る。この負荷調節機構の穴の断面積を変化させることによって,筋トレーニングの強度を設定することが可能となる。 / 本装置の有効性の検証実験として,運動負荷を4段階に変化させ,異なる3周期の条件下で膝の伸展と屈曲運動を行わせ,そのときの仕事量,仕事率及び大腿直筋,外側広筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋(内側頭)の各下肢筋筋電図積分値を測定した。加えて筋収縮における筋電図波形,張力変化及び変位変化を陸上での等速性,等張性筋収縮との比較を行った。 / 実験の結果,穴の断面積が小さくなるに従い仕事量は増加した。また,前脛骨筋を除く下肢筋放電量はどの周期でも穴の断面積に比例して増加した。このことから水の抵抗を利用した負荷設定機構が有効であることが確認された。陸上での等張性収縮運動と比較して,本装置を用いた水中運動では水の抵抗が加わるため,張力の変化パターンが緩やかであることがわかった。このことから本装置による水中運動は,陸上での等張性運動と比較して,関節に負担の少ない運動であることが示された。 / 以上の2つの実験結果より,本論文で提案された水中自転車エルゴメータと水中筋トレーニング装置での負荷調節機構が有効に働くことが確認された。さらに呼吸循環系や筋収縮パターンの検討から,これらの2種類の装置を用いた水中運動が有効であることが確認された。これらの結果から,本装置によって安全で効率の良いトレーニングが可能となると考えられる。特に障害者や中高年者に対する運転療法,また手術後のリハビリテーション運動としての有効性が期待できると思われる。

目次

  1. 目次 / p1 (0003.jp2)
  2. 第I章 序諭 / p1 (0005.jp2)
  3. I-1.現代人と運動 / p2 (0006.jp2)
  4. I-2.水の物理的影響 / p9 (0013.jp2)
  5. I-3.水中運動の特徴と利点 / p14 (0018.jp2)
  6. I-4.水中運動に関する過去の研究 / p16 (0020.jp2)
  7. I-5.研究の目的 / p18 (0022.jp2)
  8. I-6.本論文の構成 / p20 (0024.jp2)
  9. 第II章 水中自転車エルゴメータの開発とその有効性の検証 / p21 (0025.jp2)
  10. II-1.はじめに / p22 (0026.jp2)
  11. II-2.水中自転車エルゴメータの開発 / p24 (0028.jp2)
  12. II-3.水中自転車エルゴメータの有効性に関する実験 / p31 (0035.jp2)
  13. II-4.考察 / p37 (0041.jp2)
  14. II-5.まとめ / p39 (0043.jp2)
  15. 第III章 水中筋トレーニング装置の開発とその有効性の検証 / p40 (0044.jp2)
  16. III-1.はじめに / p41 (0045.jp2)
  17. III-2.水中筋トレーニング装置の開発 / p44 (0048.jp2)
  18. III-3.水中筋トレーニング装置の有効性に関する実験 / p52 (0056.jp2)
  19. III-4.考察 / p61 (0065.jp2)
  20. III-5.まとめ / p64 (0068.jp2)
  21. 第IV章 総括 / p66 (0070.jp2)
  22. IV-1.概要 / p67 (0071.jp2)
  23. IV-2.まとめ / p71 (0075.jp2)
  24. 謝辞 / p72 (0076.jp2)
  25. 引用文献 / p73 (0077.jp2)
5アクセス

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000189225
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000189508
  • DOI(NDL)
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000000353539
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
    • NDLデジタルコレクション
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