新世界の悪魔 : 植民地ペルーにおける文化接触の宗教学的考察
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著者
書誌事項
- タイトル
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新世界の悪魔 : 植民地ペルーにおける文化接触の宗教学的考察
- 著者名
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谷口, 智子
- 著者別名
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タニグチ, トモコ
- 学位授与大学
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筑波大学
- 取得学位
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博士 (文学)
- 学位授与番号
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乙第1663号
- 学位授与年月日
-
2000-11-30
注記・抄録
博士論文
資料形態 : テキストデータ プレーンテキスト
コレクション : 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文
「他者との出会いは、自己の存在の基盤を揺さぶる」と、宗教哲学者ポール・ティリッヒは語っている。ティリッヒによれば、「人は他者を拒否することも無視することも排除することも使用することもできるが、そのとき人は他者からの抵抗に会う。他者とは壁のようなもので、他者を破壊しようとすると自分自身も破壊してしまう」1からであるという。 この言葉は自己と他者との「理解」の問題を本質的に突いている。人は他者との出会いを通して、自己を成型していく。他者は自己の鏡像であり、人は、...
2000
目次
- 目次
- 序章 方法論的導入
- 第一節 問題の所在
- 1.他者理解と植民地主義の問題
- 2.最初の接触
- 第二節 宗教学の課題と方法
- 1.先行研究批判
- 2.還元主義批判と宗教学の自律性
- 第三節 エリートの宗教と民衆の宗教(宗教学の方法論的枠組み・その1)
- 第四節 宣言の宗教と顕現の宗教(宗教学の方法論的枠組み・その2)
- 1.ヒエロファニー
- 2.「顕現」の宗教と「宣言」の宗教
- 3.ヒエロファニーとしての「偶像崇拝」
- 4.「偶像崇拝」の解釈をめぐるエリアーデとリクールの相違
- 第五節 祖型と反復(宗教学の方法論的枠組み・その3)
- 第六節 本論文の構成
- 第一章 「偶像崇拝・魔術」撲滅巡察をめぐる対立・葛藤とディアレクティケー
- 第一節 ペルーにおける「偶像崇拝・魔術」巡察の歴史
- 1.初期の改宗政策
- 2.タキ・オンコイと最初の巡察
- 3.副王トレドとリマ異端審問
- 4.リマ管区教会会議とイエズス会の活動
- 5.アビラと偶像崇拝巡察の始まり
- 6.リマ大司教館と「偶像崇拝・魔術」巡察の体制化
- 第二節 「魔術師」フアン・バスケス
- 1.「インディオ、フアン・バスケスに対する魔術師ゆえの罪」
- 2.解釈のための思想史的背景-スペインにおける悪魔学の考察-
- 3.バスケスの治療の先住民的ルーツ
- 4.「魔術師」フアン・バスケス
- 5.正統主義の問題
- 6.宗教の混淆化
- 小結
- 第二章 スペインのエリート・カトリシズムとアンデス先住民の民衆宗教における祖型と反復
- 第一節 ユダヤ・キリスト教の伝統における祖型と反復
- 1.ユダヤ・キリスト教の伝統における祖型と反復
- 2.ペルーの教会人の祖型としてのグレゴリオ一世
- 3.スペインの集村化計画のモデル
- 4.スペインの集村化計画
- 第二節 アンデスの先住民宗教における祖型と反復
- 1.アンデス先住民の聖なるトポス
- 2.天空神
- 3.ワリ
- 4.先祖
- 5.大地と石
- 6.灌漑水路と畑
- 小結
- 植民地時代中頃(17世紀前後)のリマ大司教区の地図
- 第三章 現代アンデスにおける植民地主義批判としての「悪魔」の神話
- 第一節 植民地以前から現代に至るまでのアンデスの死者儀礼
- 1.マチュ
- 2.レイミー族の死者儀礼
- 第二節 鉱山の悪魔ティオ
- 1.「鉱山の悪魔」研究とその批判
- 2.悪魔としての山の神ティオ
- 3.仲介者としての山の神ティオ
- 4.宗教・文化接触におけるティオの悪魔化
- 5.民衆の悪魔-価値の転倒-
- 第三節 ピシュタコ-植民地主義批判の神話的象徴としての悪魔-
- 1.「ピシュタコ」前史
- 2.神話的イメージとしての「ピシュタコ」
- 3.供犠の象徴的意味
- 4.脂肪と脂肪をとることの意味
- 5.異人、すなわちコスモスを破壊する者
- 6.問われる研究者の位置づけ
- 小結
- 終章 結び
- 第一節 本論の意義及び要約
- 第二節 今後の課題
- BIBLIOGRAPHY
- 索引