縞枯れ林の立ち枯れ帯におけるキクイムシ類およびオフィオストマ様菌類に関する研究 縞枯れ林の立ち枯れ帯におけるキクイムシ類およびオフィオストマ様菌類に関する研究 シマガレ ハヤシ ノ タチガレ オビ ニオケル キクイムシルイ オヨビ オフィオストマヨウ キンルイ ニ カンスル ケンキュウ

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著者

    • 大高, 伸明 オオタカ, ノブアキ

書誌事項

タイトル

縞枯れ林の立ち枯れ帯におけるキクイムシ類およびオフィオストマ様菌類に関する研究

タイトル別名

縞枯れ林の立ち枯れ帯におけるキクイムシ類およびオフィオストマ様菌類に関する研究

タイトル別名

シマガレ ハヤシ ノ タチガレ オビ ニオケル キクイムシルイ オヨビ オフィオストマヨウ キンルイ ニ カンスル ケンキュウ

著者名

大高, 伸明

著者別名

オオタカ, ノブアキ

学位授与大学

筑波大学

取得学位

博士 (農学)

学位授与番号

甲第2996号

学位授与年月日

2002-07-25

注記・抄録

博士論文

本州亜高山帯で見られる、シラベ・オオシラビソを主要な構成種とする縞枯れ林の立ち枯れ帯における集団枯死は、卓越風が有力な成因として考えられている。しかし、樹木の枯死機構や過程については明確な結論が得られていない。特に樹木が枯死に至る過程に関して、生物的要因との関係はほとんど明らかにされていない。一般的な現象としては、立ち枯れ帯の枯死木にはキクイムシの集中的な穿孔が起きていることが観察されていたが、その種類、および一次性かどうかなどについても報告がなかった。さらに、キクイムシはオフィオストマ様菌類と総称される菌群を樹体内に伝搬し、その中には生立木を枯死させる病原力を持つ菌が含まれるが、シラベに穿孔するキクイムシが伝搬するオフィオストマ様菌類の種類や木への影響についても未解明であった。 以上のことから、本研究では縞枯れ林における成木の集団的枯死機構解明の一端として、立ち枯れ帯におけるキクイムシの穿孔と樹木の枯死動態との関係、キクイムシおよびキクイムシによって伝搬されるオフィオストマ様菌類の種類、さらに各種オフィオストマ様菌類のシラベ生立木に対する病原力を明らかにすることを目的とした。それらに基づいてキクイムシおよびオフィオストマ様菌類が樹木の枯死過程にどのように関与しているのかを考察した。 1.シラベ類の枯死とキクイムシの穿孔との関係 奥秩父連峰朝日岳の立ち枯れ帯にコドラートを設置し、樹木の枯損の進行を継続的に調査した結果、調査期間中に枯死しシラベ・オオシラビソ20本のうち19本が外観上枯死する前にキクイムシの集中的な穿孔を受けていたこと、集中的穿孔を受けた木の多くは穿孔を受けた当年または翌年に枯死することが明らかになった。さらに、木部圧ポテンシャル値を測定した結果、水分生理学的データからもキクイムシの穿孔は樹木が生きている段階から起きていることが明らかになった。これらのことから、立ち枯れ帯におけるシラベ類の枯死とキクイムシの穿孔は密接な関係を有していると考えられた。 2.シラベ類に穿孔するキクイムシが伝搬するオフィオストマ様菌類の種類および出現頻度 立ち枯れ帯のシラベ類生立木に穿孔するキクイムシの種構成を調査した結果、経時的調査を実施してきた朝日岳ではCryphalus属のヤマネコキクイムシが最初に侵入する主要な種であることが明らかになった。また典型的な縞枯れ林が存在する縞枯山では同属のトウヒノコキクイムシが主なキクイムシの種であった。これらの結果から、立ち枯れ帯における主要なキクイムシとして、Cryphalus属が重要な位置を占めていると考えられた。これらのキクイムシは、過去の近縁種についての報告は二次性であるということ、さらに朝日岳における穿孔状況から判断して、健全な生立木を加害できる一次性のグループではなく、二次性の強いグループであると考えられた。 生立木に穿孔するキクイムシと関係したオフィオストマ様菌類について、キクイムシ成虫虫体および孔道壁からの分離試験によって調査した結果、朝日岳のヤマネコキクイムシおよび縞枯山のトウヒノコキクイムシが伝搬する種として、共通のOphiostoma subalpinum(本研究で新種として命名、記載)の頻度が最も高く、ついでO.europhioidesの頻度が高いことから明らかになった。シラベ類が枯死する以前にこれらの菌がキクイムシとともに侵入している事実から、縞枯れ林の立ち枯れに、共通のOphiostma属菌が関与している可能性が示唆された。 朝日岳および縞枯山以外でシラベ類の集団的枯損が認められる、奥日光および八幡平において穿孔するキクイムシとオフィオストマ様菌類について調査した結果、奥日光ではCryphalus属のミヤマコキクイムシを含むキクイムシによって伝搬されるO.subalpinumおよびO.europhioides、八幡平では同属のトウヒノキクイムシを含むキクイムシによって伝搬されるO.subalpinumが主要な菌種であることが明らかになった。これらの結果から、O.subalpinumとO.europhioidesは、縞枯れ現象とのみ強く関係している菌ではなく、他の地域でもシラベ類の枯死と関係している可能性があると考えられた。3.分離されたOphiostoma属菌の病原性 同一シラベ個体への分離された各種Ophiostoma属菌の一点接種によって形成される形成層部の壊死病斑の大きさを比較した結果、O.europhioidesが最も大きな病斑を形成し、形成層部においては本種の侵害力が強いことが示唆された。さらに、O.subalpinumおよびO.europhioidesの高密度接種を行った結果、2種ともにシラベ成木を枯死させる病原力を持つことが明らかになった。また、O.subalpinum接種木では、O.europhioidesに比べ辺材部の変色と菌の進展の深さが大きく、辺材の含水率がより低下していた。これらの接種試験結果から、O.subalpinumは辺材部の水分通導阻害、O.europhioidesは形成層部の壊死を起こすという、2種の菌の性質の違いが存在することが示唆された。 以上の研究結果から、Cryphalus属などのキクイムシによって伝搬されるO.subalpinumとO.europhioidesは、風などによるストレスを受けた縞枯れ林立ち枯れ帯のシラベ類形成層の壊死や辺材部の通導阻害を起こし、シラベ類の枯死を促進している可能性が強く示唆された。

筑波大学博士 (農学) 学位論文・平成14年7月25日授与 (甲第2996号)

付: 参考文献

縞枯れ林の立ち枯れ帯におけるキクイムシ類およびオフィオストマ様菌類に関する研究 ~ 大高、伸明

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000242364
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000242975
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000004277025
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
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