内臓型GATA因子GATA-4によるGATA-1ノックダウンマウスの機能的レスキュー実験 ナイゾウガタ GATA インシ GATA-4 ニヨル GATA-1 ノックダウン マウス ノ キノウテキ レスキュー ジッケン

この論文にアクセスする

この論文をさがす

著者

    • 望月, 菜緒美 モチズキ, ナオミ

書誌事項

タイトル

内臓型GATA因子GATA-4によるGATA-1ノックダウンマウスの機能的レスキュー実験

タイトル別名

ナイゾウガタ GATA インシ GATA-4 ニヨル GATA-1 ノックダウン マウス ノ キノウテキ レスキュー ジッケン

著者名

望月, 菜緒美

著者別名

モチズキ, ナオミ

学位授与大学

筑波大学

取得学位

博士 (医学)

学位授与番号

甲第3225号

学位授与年月日

2003-03-25

注記・抄録

博士論文

<目的> 赤血球分化に必須の転写因子 GATA-1 は,グロビン遺伝子のプロモーター領域(locus control region: LCR)に結合する転写因子として単離された。以後,赤血球分化における GATA-1 の機能や分子制御機構の解明が,近年発展している遺伝子破壊法により GATA-1 ノックアウトマウス胚性幹細胞(ES細胞)やキメラマウス,遺伝子破壊マウスを用いて,進められてきた。GATA-1 遺伝子破壊マウスは,GATA-1 遺伝子がX染色体上に乗っているため,雄マウスは E9.5~12.5 で胎生致死である。よって,それ以後の発生・分化における GATA-1 の機能解析を進めるために,様々な工夫がなされてきた。GATA-1ノックダウンマウス(GATA-1 KD mouse)の作製や GATA-1 発現制御領域(GATA-1 hematopoietic regulatory domain:G1HRD)下に様々な遺伝子を発現させ,胎生致死のノックアウト雄マウスのレスキューを試みるレスキュー実験などが,それである。 山本研究室では,GATA-1 KD mouse を G1HRD の下に血球系 GATA 因子 GATA-1,-2,-3 を発現させ,レスキューすることが出来た(G1R,G2R,G3R)。このような方法は機能的レスキュー法として確立されてきている。 今回,血球系 GATA 因子と DNA 結合や蛋白質結合に関わる Zn finger domain に高い相同性を保持しているが,その発現領域が異なる,内臓型 GATA 因子 GATA-4 をG1HRD の下に発現させ, GATA-1 KD mouse の機能的レスキューが可能か,否か,検討する。 <方法> マウス心臓由来の GATA-4 cDNA を用い, GATA-1 HRD 下に発現させる構築を作製した。この DNA をC57BL/6J 系マウスの受精卵にマイクロインジェクションし,トランスジェニックマウスを作製した(GATA-4 Tg mouse)。この雄マウスを,既に山本研究室で樹立されている GATA-1.05/X マウスと交配し, GATA-1.05/Y::GATA-4 Tg という遺伝子型をもったマウスが得られるか,確認した。その結果,出生児の中に GATA-1.05/Y::GATA-4 Tg マウスは得られなかったので,胎児解析を行った。解析方法は,主に胎児の肉眼的所見,胎児・胎児肝臓の組織切片の作製と観察,免疫染色法等に拠った。 <結果> まず, GATA-1.05/Y::GATA-4 Tg マウスを,出生児の中には得ることが出来なかった。次に,死亡時期の確定のために,胎児解析を行った。この結果, GATA-1.05/Y::GATA-4 Tg マウスは,E13.5~15.5 で死亡することが明らかとなった。その胎児肝臓を観察すると,有核の N/C 比が高い未熟な細胞が著明であった。又,胎児型グロビン(ε-globin)陽性細胞が,野生型に比較して,有意に増加していた。末梢血中では,全血に対して,有核赤血球の割合が高値を示していた。又,胎児肝臓由来の cDNA を用いた RT-PCR の結果からも,GATA-1.05/Y::GATA-4 Tg マウスは,ε-globin の発現量が高く,β-globin の発現量が軽度低下していた。しかし,それ以外に検討した赤血球分化に関与する遺伝子(EKLF,ALASE,EpoR,Band3)については,明らかな差をみとめなかった。 以上の結果から, GATA-1.05/Y マウスは,GATA-4 Tg によって胎児型造血の障害を乗り越え,E9.5~12.5 での胎児致死を回避することが明らかとなった。 <考察> GATA-1.05/Y マウスで,胎児型及び成人型造血における GATA-1 の発現制御領域 GATA-1 HRD の下に GATA-4 を強制発現させたところ,胎児型造血では GATA-4 は GATA-1 の機能を代償し,有核の胎児型赤血球を分化・成熟させることが出来た。しかし,成人型造血においては,脱核前の正染性赤芽球の段階で分化が止まり,完全にレスキューすることが出来なかった。恐らく,この造血障害が原因で GATA-1.05/Y::GATA-4 Tg マウスは死亡すると考えられる。 GATA 転写因子間では,DNA 結合に必要な C-terminal Zn finger domain は高度に保存されているので,赤血球系列に異所性に発現させた GATA-4 も GATA-1 標的遺伝子上の(A/T)GATA(A/G)配列に結合できると考えられる。従って,GATA-1 と GATA-4 の間に,標的遺伝子上での転写活性化能の違い,転写因子複合体の違いなどがあるために,GATA-4 は GATA-1 を代償できなかったと考えられた。 <結論> 赤血球分化に必須の転写因子 GATA-1 のノックダウンマウスを用いて,内臓型 GATA 因子 GATA-4 によるレスキュー実験を行った。GATA 転写因子群は DNA 結合や蛋白質結合に必要な Zn finger domain が高度に存在されているため,GATA-4 による完全なレスキューが可能であることが予想された。しかし,交配実験の結果,胎児型造血はレスキューされるが,E13.5 ~15.5 で成人型造血の障害により,胎内死亡することが認められた。成人型造血における GATA-1 の機能は,標的遺伝子上の(A/T)GATA(A/G)配列を認識するのみではなく,構成される転写因子複合体や転写後修飾による転写活性化が重要であることが,示唆された。

筑波大学博士 (医学) 学位論文・平成15年3月25日授与 (甲第3225号)

付: 参考文献

内臓型GATA因子GATA-4によるGATA-1ノックダウンマウスの機能的レスキュー実験 ~ 望月,菜緒美

2アクセス

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000242589
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000243202
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000004278022
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
ページトップへ