広帯域吸音特性を有する孔あき板吸音構造に関する研究 Study on perforated plate-porous material sound absorption system with wide band absorption characteristics

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Author

    • 小口, 恵司 オグチ, ケイジ

Bibliographic Information

Title

広帯域吸音特性を有する孔あき板吸音構造に関する研究

Other Title

Study on perforated plate-porous material sound absorption system with wide band absorption characteristics

Author

小口, 恵司

Author(Another name)

オグチ, ケイジ

University

九州芸術工科大学

Types of degree

博士 (芸術工学)

Grant ID

甲第75号

Degree year

2003-03-18

Note and Description

博士論文

孔あき板吸音構造は,騒音制御や室内音響調整の目的で様々な部位に用いられている。特に,ホール・録音スタジオ・音楽練習室などの音響空間においては,目標とする残響時間を実現し,またエコーや音の集中など音響障害を防ぐために,広帯域をできるだけを均一に効率よく吸音する構造としてよく用いられている。  孔あき板吸音構造は,孔あき板の板厚,開孔率や背後空気層の厚さを変えることで様々な吸音特性が実現できるが,広帯域を吸音する構造は開孔率20%以上の孔あき板+多孔質材料(一般的にはグラスウールやロックウール)+背後空気層厚さ300mm以上の構成である。その吸音機構は,孔あき板と大きな背後空気層の組み合わせによるヘルムホルツレゾネータ型の中低音域の吸音域と,背後空気層の数次の気柱共鳴による中・高音域の吸音域が組み合わされたものである。  ところで,孔あき板は構造的に弱い多孔質材料の保護や意匠的な仕上げの役割も有している。これらの表面仕上げ材は意匠的な仕上げとは言っても,近くでは孔の奥が見え,また遠目には無孔部分とコントラストが付くために,意匠的にできるだけ均質に仕上げたいと望む建築家には嫌われることも多い。代替の吸音構造として,コペンハーゲン・リブ,アルミ繊維板や吸音セラミックなどが挙げられるが,吸音域が限られたりコストが高いことなど,広帯域にわたって一様に効率よい吸音特性を示す構造の選択枝はまだまだ少ないのが現状である。  そこで,本研究では広帯域を吸音する構造の選択枝を広げる意味で,孔の前面に目隠し板を置いた立体的な表面仕上げ+グラスウール+空気層で構成される孔あき板吸音構造に着目した。任意形状の周期構造を取り扱うために,周期壁の散乱理論に基づくモード展開法と境界要素法を組み合わせた解法を吸音率計算法に用いて,吸音率の計算値と実験値の比較検討を行うとともに,目隠し板が吸音特性に与える影響について数値計算により検討を行った。その結果,孔あき板の前面に目隠し板を置くと,孔あき板吸音構造の吸音域の他に,目隠し板のスリット共鳴と考えられる吸音域が高音域に現れること,などが明らかとなった。これらを踏まえて,より広帯域を吸音する孔あき板吸音構造について若干検討を行った。以下に概要をまとめる。 [解析手法について]  ・表面仕上げに接して背後に多孔質材が設置される孔あき板吸音構造の吸音特性解析には,空気と孔壁面との間の粘性や熱伝導を省略したモデルでも実用的に有用である。  ・より精度の高い吸音率予測を行うためには,特に境界が狭まっている部位における空気と境界面との摩擦や熱伝導による損失を考慮する必要である。 [目隠し板の吸音特性に与える影響について]  ・中音域では,孔あき板の前面に目隠し板を置いても孔あき板吸音構造の共鳴周波数を中心とする山型の吸音特性を示す。ただし,目隠し板を置くことで共鳴周波数が低域にシフトする。  ・開孔率10~20%の孔あき板の場合,目隠し板のスリット開口率を孔あき板の開孔率の2倍以上にとることで,共鳴周波数の低域へのシフト量が1/3オクターブ以内となる。音響設計では通常1/1オクターブ毎に残響計算が行われることから,目隠し板を置くことによる共鳴周波数のシフト量が1/3オクターブ程度であれば,実務上,中音域においては目隠し板の無い単純な孔あき板吸音構造とほぼ同等の吸音特性を有していると見なしても良いと考えられる。  ・目隠し板のスリット共鳴と考えられる吸音領域が2kHz以上の周波数域に現れる。またグラスウールを含む背後空気層に相当する気柱の共鳴による吸音領域が目隠し板の有無にかかわらず現れる。  ・孔あき板の前面に目隠し板を置いた立体的な表面仕上げ構造は,正面から見ると目隠し板裏の孔は見えにくいが,斜め方向からは見える角度がある。残響室法吸音率測定用に製作した大判試料を一般室内照明の下で見ると,目隠し板から奥の様子はほとんどわからない。ここで考えてきた目隠し板を有する孔あき板は,実際に孔の見えにくい孔あき板と言うことができよう。 [広帯域を有する孔あき板吸音構造について]  ・2種類の孔を市松状に開けた孔あき板(それぞれの孔間隔15mm)を用いた吸音構造は,中音域の広い範囲で大きな吸音率を示す。  ・さらに,目隠し板を並べることでスリット共鳴による高音域の吸音が付加され,全体として広い周波数範囲で高い吸音率を示す孔あき板吸音構造が得られた。  ・このような広帯域吸音特性が実際に得られるかどうか確認の吸音率測定を行った結果,計算結果は実測値をほぼトレースしていることから,計算で得られた吸音域が実際に生じていることを確認した。

目次 第1章 はじめに 第2章 モード展開法と境界要素法の結合解法による周期吸音構造の数値解析法 第3章 目隠し板を有する孔あき板構造の吸音特性解析 第4章 目隠し板が吸音特性に与える影響の検討 第5章 広帯域吸音特性をもつ孔あき板吸音構造 第6章 まとめ 謝辞 参考文献

identifier:oai:t2r2.star.titech.ac.jp:50316708

58access

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    500002178185
  • NII Author ID (NRID)
    • 8000002742720
  • DOI(JaLC)
  • Text Lang
    • jpn
  • NDLBibID
    • 000007557873
  • Source
    • Institutional Repository
    • NDL ONLINE
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