歴史的町並みを観光資源としたまちづくりの支援理論に関する研究 A study on an advocacy planning for tourism oriented development in historical town

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著者

    • 大森, 洋子 オオモリ, ヨウコ

書誌事項

タイトル

歴史的町並みを観光資源としたまちづくりの支援理論に関する研究

タイトル別名

A study on an advocacy planning for tourism oriented development in historical town

著者名

大森, 洋子

著者別名

オオモリ, ヨウコ

学位授与大学

九州大学

取得学位

博士 (芸術工学)

学位授与番号

乙第7868号

学位授与年月日

2005-05-30

注記・抄録

博士論文

 地域の気候・風土に育まれその地域の個性を濃厚に現している歴史的町並みを観光資源としたまちづくりが全国で展開されている。しかし、必ずしも伝統家屋を保存しつつ良好な町並みが形成されながら観光振興が進められているわけではなく、観光地として有名になるにつれ貴重な町並みが失われている地域もある。また一方では、観光地形成と文化財保護は矛盾することが多く、観光は文化遺産である町並みを破壊するものだという考えも根強い。さらに一般の人々の中には、町並み保存地区の住民は建設活動に規制を受け、不自由な生活環境の中で我慢を強いられて暮らしているというイメージを持つ人もいる。貴重な歴史的町並みが今後も維持・形成されるためには、観光振興と町並み保存のあり方について論議が深められる必要がある。  以上のことから、本論文では、歴史的町並みを観光資源としてまちづくりを行っている地域を支援する理論を構築することを目的とした。事例を通して良好な町並み景観を維持・形成しながらまちづくりを行う一手法を提案することで、同様のまちづくりを目指している地域にとって、有効な知見を得られると考えた。事例としては、重要伝統的建造物群保存地区に選定された町並みを観光資源としてまちづくりを行っている、福岡県の吉井町吉井と八女市福島を取り上げた。  本論文は5章から構成されている。1章では上記のような課題と研究の目的を述べ、分析の枠組みと関連研究における本論文の位置づけを整理した。  2章では、地域が主体的に取り組む観光地形成のための種々の行為を観光活動設計と定義し、観光活動設計が持つ空間設計、演出設計、誘致設計の三つの要素の視点から、公的制度による町並み整備が始まるまでの吉井のまちづくりの経緯を分析し、まちづくりの初期段階で観光活動が果たした役割や町並み保存と観光活動設計の関係を明らかにした。  3章では、公的制度による町並み整備開始以降の吉井の町並み整備事業を対象に、町並みが持つ文化財、生活環境、観光資源としての三つの価値の視点から分析を行い、町並み整備の発展の経緯と町並み保存事業のあり方を明らかにした。  4章では、歴史的町並みだけではなく、市域全域に広がる農村景観や自然景観にも注目しその保全を視野に入れたまちづくりを目指している八女市を事例に、従来の町並み保存の手法から一歩進んだまちづくりの取り組みの背景と経緯を分析し、まちづくりを運営するシステムのあり方を明らかにした。  5章では、前章までに得られた知見を総括して考察を行い、歴史的町並みを観光資源としたまちづくりを支援する理論として以下の四つを提言し結論とした。 (1)町並み保存を支援する観光活動設計について 地域住民は観光振興から経済的効果を得るだけではなく、来訪者との交流を通して町並みの価値を再認識し誇りを回復している。観光活動を意識したまちづくりは、地域を活性化させ町並みの価値を住民に再認識させる有効な手段となりうる。また、町並みを観光資源としたまちづくりをするしないに拘わらず、外部との交流が発生する以上は、地域が主体となった適切な誘致設計、空間設計、演出設計の観光活動設計を行わなければ、住民はプライバシーの侵害や交通混雑などの被害を受けることになり、地域が望む町並み保存のまちづくりは実現しない。三つの設計ステージを用いた観光活動設計が、町並み保存のまちづくりには必要である。 (2)町並み保存を支援する町並み整備について 観光のみを重視した町並み保存は、やがて観光資源そのものである町並みを変質させることになる。生活環境としての価値や文化財としての価値も重視し、三つの価値のバランスをはかりながら町並みを整備することが重要である。文化財としての価値を重視した修理が行われることにより、伝統家屋が持つ本来の生活環境の良さも享受できるようになり、それらと周辺の環境が織りなす町並み景観も蘇るこになる。それはまた町並みが持つ固有性を維持することになり、本物の町並みであることが観光資源としての魅力も高めている。 (3)町並み保存を支援する運営システムについて まちづくりを実現する運営システムにおいては、八女福島で見られたような官民パートナーシップが形成されることが重要である。八女福島では事務局を行政が担当し人的にも経済的にも支援を行っているが、あくまでも黒子に徹し、まちづくりの表に立つのは住民団体であり住民主体のまちづくりが展開されている。住民が主体となることで、住民にまちづくりの責任感が生まれ、町並み保存の制度や建造物の修理・修景に関する知識が蓄積される。信頼関係が築かれていなければ、修理・修景に補助が出されるとはいえ規制を伴う町並み保存は実現しない。 (4)三つの価値と観光活動設計の関係について 町並みの三つの価値のいずれを重視してまちづくりが開始されたかにより、どの様な観光活動設計を行うのが効果的であるかが異なってくる。2者の関係について考察を行いそのあり方について提言を行った。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000335106
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000336021
  • DOI(JaLC)
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000008050281
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
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