流下液膜による鉛直高温面の急速冷却中における非定常伝熱特性 リュウカ エキマク ニヨル エンチョク コウオンメン ノ キュウソク レイキャクチュウ ニオケル ヒテイジョウ デンネツ トクセイ
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著者
書誌事項
- タイトル
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流下液膜による鉛直高温面の急速冷却中における非定常伝熱特性
- タイトル別名
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リュウカ エキマク ニヨル エンチョク コウオンメン ノ キュウソク レイキャクチュウ ニオケル ヒテイジョウ デンネツ トクセイ
- 著者名
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松枝, 宏明
- 著者別名
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マツエダ, ヒロアキ
- 学位授与大学
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佐賀大学
- 取得学位
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博士 (工学)
- 学位授与番号
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乙第64号
- 学位授与年月日
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2007-03-23
注記・抄録
博士論文
高温面の非定常冷却現象は,材料製造過程や原子炉想定事故である冷却水喪失事故の安全解析等の工業的分野で現れる重要な伝熱プロセスである.しかし,この冷却過程は複雑な非定常現象であることから十分に明らかにされているとは言い難い状況である. 本研究は,鉛直高温面を流下液膜で冷却し,濡れの様子を観察するとともに,固体内部の温度変化から,表面温度・表面熱流束を推定し,高温面の非定常伝熱特性を実験的に明らかにすることである.特に,濡れ開始位置の進行に伴う最大熱流束となる位置の時間変化および最大熱流束が最大となる時刻について検討した.実験は,高温面の初期温度 200-400℃,液膜平均流速0.52-1.24m/s,液膜サブクール度20-80K,冷却面積20x100mmで行われている.高温ブロックには,表面から2, 5(銅の場合は7)mmの位置にそれぞれ8本のC-A型熱電対が挿入されており,これらの熱電対によって測定された固体内の温度変化から表面温度および熱流束を推定した.なお,高速ビデオカメラの測定と温度測定とは同期されている.高温面の流動状況を撮影した結果,冷却開始後速やかに濡れ開始位置が下流部へ進行するものと,ある時刻(滞在時間)まで進行しないものが観察された.この滞在時間中,高温面上流部では,濡れたり乾いたりという状態を繰り返していた.滞在時間は,高温面材質が銅で高温面初期温度が300-400℃,液膜サブクール度が50Kと高温面初期温度が 250-400℃,液膜サブクール度が20Kの条件で見られ,高温面初期温度が大きいほど,液膜の平均流下速度とサブクール度の積が小さいほど長くなった.この滞在時間について整理式を提案し,その時刻が±30%の範囲で予測できることを示した.また,滞在時間がある場合,最大熱流束を示す位置の移動速度は,高温面の初期温度による影響を殆んど受けなかった.この結果,滞在時間のある場合,液膜冷却能力が高いほど滞在時間が短くなるため移動速度が遅くなり,滞在時間がない場合,液膜冷却能力が高いほど移動速度が速くなるという結果を見出した.さらに,濡れ開始位置が移動中の最大熱流束の値は,下流部へ行くほど減少し,高温面初期温度に依存しないことが分かった.また,このときの最大熱流束は限界熱流束を超えないことを明らかにした.