筋電信号解析におけるWavelet変換の適用に関する研究 キンデン シンゴウ カイセキ ニオケル WAVELET ヘンカン ノ テキヨウ ニ カンスル ケンキュウ
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著者
書誌事項
- タイトル
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筋電信号解析におけるWavelet変換の適用に関する研究
- タイトル別名
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キンデン シンゴウ カイセキ ニオケル WAVELET ヘンカン ノ テキヨウ ニ カンスル ケンキュウ
- 著者名
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鶴崎, 俊哉
- 著者別名
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ツルサキ, トシヤ
- 学位授与大学
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佐賀大学
- 取得学位
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博士 (学術)
- 学位授与番号
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乙第69号
- 学位授与年月日
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2007-03-23
注記・抄録
博士論文
Thesis
本論文は表面筋電信号(SEMG)の解析に対するwavelet変換の適応について論述するため,漸増負荷テストおよび筋疲労によるSEMGを離散wavelet変換(DWT)による独自パラメータと連続wavelet変換(CWT)を用いて検討した.最初に,漸増負荷による等尺性収縮時のSEMG変化を検討した.筋活動の状態を見るためにDWTを用いたパラメータを提案した.パラメータは,1)分解レベルj毎の信号のパワー:PD(j),2)全ての分解レベルでのパワーの総和:TPw,3)分解レベルj毎のPD(j)とTPwの比率:RPD(j)とした.実験1では.健康な成人女性14名の上腕二頭筋からSEMGを導出した.対象に肘関節屈曲90゜の位置で最大限度の肘屈曲を行わせ,これを最大随意筋力(MVC)とした.続いて各対象に肘関節を同じ位置に保つように支持し,負荷を漸増させた.その結果,TPwは25%から35%MVCの間で有意な増加を示し,RPD(3)とRPD(4)のグラフはそれぞれ凸状,凹状に変化した.実験2では,健康な成人女性ボランティア13名から負荷の増加度を1.03Nm/s(低レベル: LL)と1.37Nm/s(高レベル: HL)に変化させた際のSEMGを導出した.その結果,HLでは50%MVCのTPwがMVCのTPwより高かった.次に,筋疲労評価に対してwavelet変換を適用した.実験1では,CWTによるSEMGの解析を行い,瞬時平均周波数(IMNF)と高周波成分の特徴をデータから抽出した.対象は健康な男性ボランティア11名で,5kgのダンベルで疲労困憊までアームカール課題を実行し,課題遂行中のSEMGを上腕二頭筋から記録した.結果,IMNFが低周波数方向へ有意にシフトし,高周波成分は有意に減少した.実験2では,等尺性収縮時の筋疲労をDWTによるパラメータで解析した.対象は健康な男性ボランティア5名で,背臥位で70%MVCの等尺性肘関節屈曲を行わせ,上腕二頭筋からSEMG信号を記録した.SEMG信号からIMNFとDWTによるパラメータを算出した.疲労の過程で,IMNFは低周波数方向にシフトし,PD(1)とPD(2)は減少,PD(4)とPD(5)は増加していた.以上の結果より,筋収縮活動におけるMU動員パターンの相違が示唆され,SEMG解析へのwavelet変換の適応は,有力で臨床的に役立つことが示された.