3次元CG作成ツールにおける主観指向インタラクションデザインの研究 Design research of subjective-interaction for 3DCG tools

この論文にアクセスする

この論文をさがす

著者

    • 藤木, 淳 フジキ, ジュン

書誌事項

タイトル

3次元CG作成ツールにおける主観指向インタラクションデザインの研究

タイトル別名

Design research of subjective-interaction for 3DCG tools

著者名

藤木, 淳

著者別名

フジキ, ジュン

学位授与大学

九州大学

取得学位

博士 (芸術工学)

学位授与番号

甲第8374号

学位授与年月日

2007-03-26

注記・抄録

博士論文

近年、コンピュータが世間一般に普及し、日常生活において大きな役割を担うようになった。こうした中で、子供から年配者まで、コンピュータに関して専門的な知識を持たないユーザに負荷なく操作可能なアプリケーションソフトウェアの提供が期待されている。そうした利用環境を実現するためにはインタラクションデザインが重要な役割を果たす。  従来、インタラクションデザインにおいては効率が重要な要素として認識されてきた。しかし、これからのインタラクションデザインにおいては、効率だけでは不十分と考える。これまでのインタラクションデザインにおいては、ユーザが何らかの目的を持っており、それを達成するために如何に効率的に必要な操作環境を提供するかが重要であると考えられてきた。しかし、コンピュータに関して専門的な知識を持たないユーザにおいては、単に作業効率だけでなく、コンピュータ操作自体がユーザを満足させる必要があると考えた。本研究では、近年注目されている3次元CG作成ツールを対象とし、ユーザを満足させる要素としてだまし絵に注目する。ユーザの解釈を優先するようなだまし絵表現を持つインタラクション表現を主観指向インタラクション表現と定義し、3次元CGモデリング及びアニメーションツールのための作業を楽しく行える主観指向インタラクションデザインを開発することを目的とした。  研究方法として、まず、対象とするシステムにおいて既存の3次元CG作成ツールのインタフェースを楽しくする主観指向インタラクションデザインを考案する。次に考案したインタラクションデザインをアプリケーションソフトウェアとしてパーソナルコンピュータに実装する。評価を求めるにあたり、メディアアートやエンターテインメントの評価法にならい、開発したアプリケーションソフトウェアをコンテストに応募し、展示実演する。また、インターネット上のソフトウェアライブラリサイトに登録し一般公開する。そして、専門家による批評及び、体験者による意見を得て、評価・考察する。そこでの考察を基に、繰り返し改善を加えるようなプロトタイプの制作と専門家による評価やユーザ評価による方法を用いた。具体的に、本研究では2つの3次元CGモデリングツールと1つの3次元アニメーションツールを開発した。これらを簡単に説明すると以下の通りである。 1.はいぱーぺいんと  立方体の配置により形状を生成し、その形状に対して着色を可能とする3次元CGモデリングツールである。立方体の面をクリックするとその面に接するように新しい立方体は配置され、また、立体形状や土台となる箱の見えている面に直接線描画することができる。2次元を意識して操作したものが3次元として反映されるだまし絵のようなインタラクションデザインにより、楽しく操作できるものとした。 2.Incompatible BLOCK  はいぱーぺいんとの立体の配置と着色における主観指向インタラクションデザインの改良を行ったものである。平行投影法を用い奥行きによらず常に立方体の見た目の大きさを変化させないことで、だまし絵のようにユーザを錯覚させる効果を得ることができる。また、立方体の奥行きの決定は人間の心理を用いて、描画イメージから得る主観的印象に基づくような配置とすることで、楽しく操作でき且つ有効性も兼ね備えたインタラクションデザインとなることを期待した。また、3次元空間をズームしても、人間が見ているディスプレイのサイズは変わらない。このことを利用し、ズームによらず常に同じ線描画するためのサイズのペンになるようにプログラムすることで、結果として3次元空間ではサイズが変更されるだまし絵のような主観指向インタラクションデザインを開発した。 3.OLE Coordinate System  ユーザが配置したブロックや、階段上を複数のキャラクタが実世界ではあり得ない徘徊動作を可能にする3次元CGアニメーションツールである。ユーザは視点を変更することで、だまし絵のようなキャラクタの振る舞いを簡単に実現することができる。3次元形状を平行投影によって描画した場合、奥行きに応じて見た目の大きさが変化することはない。この時、1つの2次元イメージから推測される3次元形状が一意に定まらず、その結果、その振る舞いが、実世界では有り得ない違和感のある動作を作りだすことがある。このようなだまし絵表現を行うための主観指向インラクションデザインを考案した。  検証により本インタラクション表現がユーザーに楽しいエクスペリエンスを与えることを確認した。本論文では、以上の3つのアプリケーションソフトウェアを用いて、ユーザエクスペリエンスの満足度に注目した新しいコンピュータインタラクションデザインに関する議論を行った。

目次 第1章 序論 第2章 はいぱーぺいんと:3次元CGモデリングツールのための主観指向インタラクションデザイン1 第3章 Incompatible BLOCK:3次元CGモデリングツールのための主観指向インタラクションデザイン2 第4章 OLE Coordinate System:3次元CGアニメーションツールのための主観指向インタラクションデザイン 第5章 総括 謝辞 参考文献及び参考資料 専門家評価の引用

59アクセス

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500002294587
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000002859611
  • DOI(JaLC)
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000008973426
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
ページトップへ