陸上移動通信における多重路伝搬特性およびダイバーシチ技術とその応用に関する研究 Multipath propagation characteristics and diversity technologies and their applications for land mobile radio systems

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著者

    • 守山, 栄松 モリヤマ, エイマツ

書誌事項

タイトル

陸上移動通信における多重路伝搬特性およびダイバーシチ技術とその応用に関する研究

タイトル別名

Multipath propagation characteristics and diversity technologies and their applications for land mobile radio systems

著者名

守山, 栄松

著者別名

モリヤマ, エイマツ

学位授与大学

電気通信大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

乙第115号

学位授与年月日

2007-06-30

注記・抄録

博士論文

2007

本論文は,陸上移動通信における多重路伝搬特性およびダイバーシチ技術とその応用に関する研究について記述したものである.陸上移動通信のユーザー数は年々増加の一途をたどっており,そのため移動通信用の周波数は逼迫している.ダイバーシチはこの逼迫を緩和する有望な技術として知られている.しかし広帯域システムにおけるダイバーシチ技術の効果については従来まで検討が充分ではなかった.陸上移動通信では移動局の移動に伴い受信信号の電力は大きく変化する,フェージングと呼ばれる現象が発生する.フェージングにより受信電力が小さくなった時には伝送信号の品質劣化が生じるため,高品質伝送を維持することが困難である.また,フェージングは送信された信号に対し,ランダムな信号で変調するような働きがある.受信電力の低下に伴いフェージングの変化速度が増加するので,フェージングによりランダムに変調される程度が激しい.このため,受信電力の落ち込みを防ぐダイバーシチはフェージング対策として特に有効である.ダイバーシチ技術により伝送信号品質の向上と周波数利用効率の向上が期待できる.ダイバーシチ技術は有効ではあるがあるが,これにより得られる性能は電波信号が伝送される電波伝搬環境と用いるダイバーシチ技術の種類に依存する.たとえば直接拡散方式によるDS-CDMA を陸上移動通信に用いた場合,多重路伝搬遅延を積極的に利用したパスダイバーシチを実現できるが,その効果は多重路伝搬遅延特性に依存する.そこで本論文では,典型的な多重伝搬路において,パスダイバーシチを用いた場合の効果が,どの程度得られるかを定量的で客観的な指標で評価した.また,実際のDS-CDMA 受信機では,ダイバーシチ枝を構成するレイクフィンガー数が比較的少数であるのに対して,実際にダイバーシチ合成することができる候補のパス数は非常に多い.少ないレイクフィンガーを実際の伝搬路のどのパスに割り当てるのがよいのか,そのとき期待される性能はどの程度であるかを示した.これにより,実伝搬の下で,DS-CDMA 方式が用いる拡散域幅を最適に選択できる.一方,狭帯域通信では,多重路伝搬遅延は信号伝送の阻害要因として働く.その影響は,伝送信号の誤り率と多重路伝搬特性との関係として明らかとなっている.しかし多重路伝搬遅延測定から,誤り率の場所率を推定するまでには至っていなかった.また多重路伝搬特性の推定法も従来までは膨大な時間がかかり実用性と精度に乏しいものであった.そこで本論文では多重路伝搬遅延の推定モデルを開発するとともに誤り率の場所率の推定法を示した.実際にダイバーシチを実現するためにはハードウエア規模が大きくなるのが問題となる.そこで少ないハードウエア規模で空間ダイバーシチを実現する受信方式を提案した.さらに,広帯域信号を用いる電気通信事業用のシステムおよび狭帯域信号を用いる業務用通信の開発にあたり実施した多重路伝搬特性測定と伝送信号品質の関係からダイバーシチの効果を実験的に明らかとした.本論文は,9章から構成される.第1章は,本研究の背景となる,陸上移動通信を取り巻く現状について述べる.第2章では,議論の展開で必要となる伝搬特性,ダイバーシチ技術等の陸上移動通信技術の概要について述べる.第3章では,マイクロセル多重路伝搬特性測定結果から期待されるダイバーシチの効果について推定する.さらに多重路伝搬のシミュレーションモデルを提案し,これから遅延スプレッドの場所率を推定する.第4章では,ダイバーシチ技術に関して,ダイバーシチの実効枝数,シングルパス選択方式および,複数パス選択最大比合成方式の特性を,典型的な多重路伝搬モデルの下での理論検討と計算機シミュレーションにより明らかにする.第5章では,公衆電気通信事業用への適用を考慮して開発されたマルチメディア・マルチモードTDMA 移動通信システムの概要を述べ,判定帰還型適応等化器を用いたパスダイバーシチ効果を室内および野外実験結果により明らかにする.第6章では,自営通信用および業務用通信への適用を考慮して開発された狭帯域ディジタル陸上移動通信方式についての空間ダイバーシチの効果について室内および野外実験により明らかにする.第7章では,空間ダイバーシチおよびアダプティブアレーアンテナのハードウエア規模削減を目的として,時分割多重化受信方式を提案するとともに,その有効性を開発した時分割多重化受信方式を用いた実験装置によるCMA アダプティブアレーアンテナシステムの実験結果により検証する.第8章では,スペクトル拡散通信方式の陸上移動通信への適用を目的に開発された通信実験装置によりパスダイバーシチ効果と周波数ダイバーシチ効果を明らかにする.第9章では,本論文の研究内容をまとめるとともに,残された課題および将来展望について述べる.

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000408883
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000410142
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000009136241
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
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