アジア地域の伝統的発酵調味料中のD-AlaとD-Glu含有量とそれらのラット小腸管吸収に関する研究 Studies of content of free D-Ala and D-Glu in traditional Asian fermented seasonings and their absorption by rat intestine

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著者

    • 森, 真貴子 モリ, マキコ

書誌事項

タイトル

アジア地域の伝統的発酵調味料中のD-AlaとD-Glu含有量とそれらのラット小腸管吸収に関する研究

タイトル別名

Studies of content of free D-Ala and D-Glu in traditional Asian fermented seasonings and their absorption by rat intestine

著者名

森, 真貴子

著者別名

モリ, マキコ

学位授与大学

岩手大学

取得学位

博士 (農学)

学位授与番号

甲第539号

学位授与年月日

2011-03-23

注記・抄録

博士論文

近年哺乳動物にもD型アミノ酸の存在や利用が明らかになり、 それらの生理的機能などに対して大きな関心をもたれている。 動物体内に存在するD型アミノ酸の由来の1つとして、L型アミノ酸の酵素的または非酵素的ラセミ化があるが、 哺乳動物ではD-セリンラセマーゼのみがラットとヒトの脳で発見されているにすぎず、 体内に存在するD型アミノ酸は生体内におけるラセミ化よりも、体外に由来するところが大きいと考えられる。 体外からの遊離アミノ酸の由来は、腸内細菌や食品が考えられるが、 D型アミノ酸は腸内細菌により影響されないと報告されていることから、食品由来のD型アミノ酸がきわめて重要である。 食品では、天然食品 (豆類、果実類、甲殻類、貝類) や発酵食品 (チーズ、乳酸飲料、ワイン、ビール) にD型アミノ酸が存在する。 特に微生物を用いる発酵食品は他の食品に比べ、D型アミノ酸含有量の多いことが報告されている。 しかし、醤油などの日本やアジア地域で食される発酵食品中のD型アミノ酸含有量の報告はほとんどない。 また、D型アミノ酸の生理機能が見出されているが、その腸管吸収についての報告も少ない。 そこで本研究では、日本およびアジア地域の伝統的な発酵調味料のD型アミノ酸含有量を調べ、その腸管吸収量について検討した。 本研究で使用した試料は、アジア地域で日常的に利用されている伝統的な発酵調味料の醤油4種 (こいくち醤油、うすくち醤油、たまり醤油、さいしこみ醤油)、味噌3種 (米味噌、麦味噌、豆味噌)、 魚醤4種 (いかいしる、いわしいしる、ナンプラ-、ヌックマム)の、11種である。 醤油、味噌、魚醤における遊離アミノ酸 (D型+L型) の平均含有量は、醤油と魚醤はほぼ等しく、味噌はそれらの4割以下であった。 11種の発酵調味料の遊離アミノ酸では、GluとAlaが他のアミノ酸に比べて有意に多く、 それぞれ遊離アミノ酸全量の13%と11%であった。そこで、本研究ではGluとAlaに注目して以下の研究を行った。 11試料の遊離L型およびD型のGluとAla平均値は、L-Glu は54 μmol/(試料g) (以下μmol/gと略す)で、 L-Ala は44 μmol/gであったのに対し、D-Gluは0.07 μmol/g(米味噌、麦味噌、いかいしる、いわしいしるでは検出されず)であり、 D-Alaは全ての試料で検出され0.25 μmol/gであった。 D-Ala含有量は、D‐Gluの3倍強多く、L-Alaの約1%であった。 醤油や味噌の摂取量を考慮すると、日本人はD-Ala はこいくち醤油で 0.31mg、米味噌で0.33mg、 D-Glu はこいくち醤油 で0.46mg摂取していることになり、 日常の食生活である程度のD型アミノ酸が摂取されていると考えられる。 11試料の遊離L-GluとL-Alaに対する遊離D-GluとD-Ala含有量は全く相関せず、 そのため原料由来であるL-GluとL-Ala に対し、D-GluとD-Alaの由来は原料だけではない様々な要因が考えられた。 全発酵調味料でD-Ala/D-Glu含有量の割合が、 発酵食品に用いられる微生物と本研究の発酵調味料の数値とほぼ一致したことより、 製造工程での加熱等や細菌の自己消化によって細菌が保有するD型アミノ酸が菌外に放出されると考えられた。 一方、うすくち醤油の遊離D-Gluにおいては、原料の影響が強かった。 たまり醤油の遊離D-GluとD-Alaは、他の試料と異なり遊離L型アミノ酸と同様に含有量が高いため、 L型を基質とするラセミ化の影響が大きいと考えられた。 次にD型アミノ酸の吸収について検討を行った。 ラット反転腸管モデルを用い、Ala (中性アミノ酸)、Glu (酸性アミノ酸)、Lys (塩基性アミノ酸) 3種の L型およびD型の吸収を測定した。 アミノ酸吸収の場合Na+の存在が大きく影響することが知られている。 しかし、各アミノ酸単独投与の場合、Na+の有無にかかわらずL-Gluの吸収量が、他に比べ有意に低かった。 また、Na+非存在下で、全てのD型アミノ酸とL-Alaが Na+存在下に比べわずかに減少した程度で、 Na+依存性は顕著に見られなかった。 D-GluとD-Lys では、他のアミノ酸の存在により吸収率がわずかに下がり、競合効果がみられた。 全体を通してNa+の有無に関わらずD型アミノ酸吸収量の平均値は、L型 (L-Glu除く) の約80%であり、 吸収量の変化はL型アミノ酸と同様な傾向を示し、ラット小腸管においてD型L型は区別なく吸収された。 以上、本研究によりD型アミノ酸、特にD-AlaとD-Gluは醤油や味噌のようなアジアの伝統的な発酵食品にある程度の量含まれ、 我々はそれを摂取していることが明らかになった。 またこれらのD型アミノ酸は、小腸からL型アミノ酸と同様に吸収されることが示された。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000545040
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000547113
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 000011283913
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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