Space weather study of energetic charged particles 高エネルギー荷電粒子に関連した宇宙天気の研究
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著者
書誌事項
- タイトル
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Space weather study of energetic charged particles
- タイトル別名
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高エネルギー荷電粒子に関連した宇宙天気の研究
- 著者名
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久保, 勇樹
- 著者別名
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クボ, ユウキ
- 学位授与大学
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電気通信大学
- 取得学位
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博士 (学術)
- 学位授与番号
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甲第640号
- 学位授与年月日
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2011-03-24
注記・抄録
博士論文
2010
本学位論文では、高性能コンピューティング技術の科学研究への適用という観点から研究を行っている。科学研究の題材として、近年特に需要が高まりつつある宇宙天気予報をテーマとし、特に高エネルギー荷電粒子に関連した宇宙天気現象の予測・警報に焦点を当てて、統計学的手法及び数値シミュレーションを基盤とした宇宙天気予報システムの開発を目指している。本学位論文では、宇宙天気予報システム開発のための基礎的・応用的研究として(1)高エネルギー荷電粒子現象の発生そのものの予測・警報、(2)高エネルギー荷電粒子を用いた宇宙天気現象の予測・警報の両側面から研究を行っている。(1)においては、統計学的手法を用いて太陽高エネルギー粒子及びその発生源となる太陽フレア発生の予測・警報のための経験則を発見し、それを用いた予測・警報手法を開発するという工学的側面の強い研究を行っている。ここではGOES衛星が観測した太陽フレア及び太陽高エネルギー粒子のデータを解析することで、太陽高エネルギー粒子現象に関連した太陽フレアの規模に閾値があることを示し、この閾値を用いた警報発令手法について議論している。また、GOES衛星で観測された太陽フレアデータを「赤池情報量基準」を用いて解析することで、太陽フレアはランダムに起こっているわけではなく活動領域でのエネルギー蓄積過程に関連があることを示し、太陽フレア発生時間間隔に対する確率密度関数を用いた太陽フレア発生確率の計算手法を提案している。(2)においては、宇宙線の惑星間磁気雲への侵入過程と密度分布を数値シミュレーションにより明らかにするという理学的側面の強い研究を行っている。宇宙線の惑星間磁気雲への侵入過程は今まであまり重要視されて来なかった問題であるが、本学位論文で注目しているGeV領域のエネルギーの宇宙線に対しては、磁気雲が太陽近傍にある場合と地球近傍にある場合では磁気雲への主たる侵入過程がそれぞれ拡散と旋回という異なった過程となるという新しい見解が示されている。さらに、宇宙線のラーモア半径が磁気雲の大きさに対して無視できない程度の大きさを持つ場合は、今まで考えられてきた旋回中心近似を用いて求めた場合とは大きく異なった密度分布になるという重要な結果が示されている。