準天頂衛星ネットワークシステムの軌道に関する研究 Research on orbits of Quasi-zenith satellite Network Systems

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著者

    • 木村, 和宏 キムラ, カズヒロ

書誌事項

タイトル

準天頂衛星ネットワークシステムの軌道に関する研究

タイトル別名

Research on orbits of Quasi-zenith satellite Network Systems

著者名

木村, 和宏

著者別名

キムラ, カズヒロ

学位授与大学

電気通信大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

甲第642号

学位授与年月日

2011-03-24

注記・抄録

博士論文

2010

Mobile satellite communication network systems have been developed and putto practical use. However, the network systems using geostationary satellites have aproblem of signal blocking caused by buildings because of a low elevation angle. Lowearth orbit satellite network systems which consist of many satellites are also proposed.However, the commercial services were abandoned because of high cost. As for thesatellite navigation network system, the global positioning system has been put to fullcivilian use. However, it also has the building blocking problem.To solve these problems, quasi-zenith satellite system (QZSS) is proposed, andthe project to provide communications and navigation services using QZSS has beenstarted in Japan. The QZSS network consists of three satellites deployed into inclinedsynchronous orbits.In order to realize the system, the author established the method of optimizingthe satellite constellation, satellite orbit maintenance technologies, and networkoperation technologies.The first issue is the optimization of satellite constellation. After the orbitalmotion for circular orbit constellations is formulated, the equations for calculating theoptimum orbital parameter are derived. The author also found optimum elliptical orbitconstellations under several typical conditions.The second issue is satellite orbit maintenance. It was believed that theconstellation is impractical, because the required velocity increment for orbitmaintenance is very large. The author found out that the velocity increment can bereduced by the trimming of the satellite orbital period and proper selection of the initialorbit. The method of orbit maintenance is optimized considering the total amount ofvelocity increment.The third issue is satellite network operations. The author introduced indicatorsfor the satellite crossing distance. The indicators can be easily calculated from theorbital elements of the crossing satellites, and it is useful for collision avoidance aroundthe crossing point. Strategies for spare satellite deployment are also investigated.The experimental satellite "Michibiki", which demonstrates satellite navigationtechnologies by QZSS, has been successfully launched in September 2010.衛星を用いた移動体通信ネットワークシステムが、1990 年代から実用化されてきたが、静止衛星を用いた場合には、例えば、東京からでは最大でも仰角48度にしかならず、都市部でビル等により電波が遮断されるブロッキングが問題となる。また、多数の低軌道衛星を用いたイリジウムのようなネットワークシステムが複数提案されたが、仰角の確保や衛星ダイバーシティの実現には多数の衛星が必要で、ネットワーク構成に高いコストがかかる問題がある。衛星を用いた測位ネットワークシステムに関しても、GPS(Global PositioningSystem)の民生利用が浸透し、カーナビゲーションや測量等の用途に幅広く利用されるようになったが、ブロッキングにより、測位に必要な4機以上の衛星からの信号が受けられず、測位ができないことも多い。これらの問題を解決する衛星ネットワークシステムとして、わが国の官民が連携し、準天頂衛星ネットワークシステムの開発が行われてきた。準天頂衛星ネットワークシステムは、日本付近で8 時間高仰角が保たれる衛星3 機でネットワークを構成し、順次、切り替え(ハンドオーバ)しながら天頂付近の衛星から移動体に通信・測位のサービスを行うものである。筆者は、準天頂衛星軌道の基礎研究を行うとともに、2003 年に準天頂衛星プロジェクトが開始されて以降は衛星システムの概念設計に参画し、衛星軌道に関する課題について研究を行った。赤道に対して45 度程度の傾斜角をもち、衛星が地球の自転と同じ周期で地球を周回する楕円軌道の傾斜同期軌道において、その軌道面と楕円の長軸方向を一定に保持するためには、静止軌道の軌道を保持する場合の3倍程度の制御量が必要になり、準天頂衛星ネットワークシステムは当初実用にならないと考えられていた。そこで、本研究では、最初にこの衛星軌道保持制御量の問題について再検討を行い、準天頂衛星ネットワークシステムのミッション要求条件とネットワークの幾何学的配置を考慮して、衛星高度の調整で地球に対する相対的な軌道面を保つとともに、適切な初期軌道を選ぶことで、静止衛星と同程度以下の制御量で軌道保持ができることを明らかにした。このことにより、準天頂衛星ネットワークシステムの実現可能性が示され、計画の実現に向け大きく前進した。本研究では、準天頂衛星ネットワークシステムの軌道に関する以下の三つの課題について検討を行った。一番目の課題は、衛星の軌道配置の最適化である。円軌道の場合は、軌道運動が解析的に定式化できるため、軌道傾斜角の関数として運用最低仰角が最大となる緯度を計算するための数式を導出した。円軌道の場合でも、日本の主要部分で70 度以上の仰角を常時確保できるものの、一般的には楕円軌道の方がいい仰角特性が得られる。このため、円軌道での検討で得られた知見を活用し、楕円軌道について、南北両半球へのサービスに適した軌道や、北半球限定で非常に高い仰角が得られる軌道配置、衛星間でのハンドオーバが地上から見てほぼ同一位置で可能となる軌道パラメータを導出した。二番目の課題は、衛星軌道保持制御量の最小化とそのための制御方法の確立である。楕円軌道の場合には、円軌道の場合と比較して、楕円の長軸方向を保持する制御も新たに必要になる。また、軌道上のどの位置でどの方向に加速制御するかによっても制御量が異なる。実際に衛星を制御する場合には、運用上の制約で制御ができない軌道上位置もある。これらの条件を考慮した上で、初期軌道投入パラメータなどさまざまな要因を含めて検討し、軌道保持制御方法の最適化により制御量の最小化を行った。この一般的な検討に加えて、実システムの概念設計段階で以下の検討を実施した。初めに、プロジェクトで候補となった複数の軌道案について比較評価を行った。次に、通信・測位の複合システムの要求条件に合わせ、通信ミッションに必要なハンドオーバ条件を維持しながら軌道制御による測位精度劣化を回避するために、軌道保持制御間隔を可能な限り延ばすことを検討した。最適な制御方法を導出することにより、40 日程度まで間隔を広げられることを示した。最後に、測位のみのミッションで仰角条件を緩和した場合には、1 年に1 回程度の制御に減らせる可能性を示した。三番目の課題は、衛星ネットワーク運用に関するものである。提案した同一位置ハンドオーバを実現する軌道の場合には、衛星衝突が起こりうる。安全に運用するための方法とそのための軌道変位量について検討し、衝突回避運用方法を確立した。さらに、ネットワークを構成する衛星が故障した場合に備えた予備衛星の配置方法や、予備衛星の軌道変更によるネットワーク構成復旧制御方法についてトレードオフ検討を行い、指針を導出した。本研究により、準天頂衛星ネットワークの実現可能性を示し、軌道に起因する諸問題を解決するための指針を明確にした。このことにより、準天頂衛星プロジェクトが開始されることになった。2010 年9 月には、準天頂衛星システムの測位ミッション実証衛星である「みちびき」が打ち上げられた。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000547470
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000549562
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 023263199
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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