地域医療における病床管理問題への経営工学的アプローチに関する研究 A study on the Management Engineering Approach to Hospital Bed Capacity Management in Community Health

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著者

    • 小林, 大高 コバヤシ, ダイスケ

書誌事項

タイトル

地域医療における病床管理問題への経営工学的アプローチに関する研究

タイトル別名

A study on the Management Engineering Approach to Hospital Bed Capacity Management in Community Health

著者名

小林, 大高

著者別名

コバヤシ, ダイスケ

学位授与大学

電気通信大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

甲第672号

学位授与年月日

2012-03-23

注記・抄録

博士論文

2011

本研究では、地域医療における病院治療提供体制について病院モデル及び地域医療連携モデルを通して必要病床数を経営工学的に考察し、また、効率的な医療連携モデルについて論じるものである。近年、高まる医療費を抑制するために医療費削減を意図した政策が次々と導入され、国民の医療サービスへのアクセスを間接的ながら減少させるような方向に向かっている。このような状況にあっては、病院の経営環境が厳しくなることが予想され、効率的に病院を経営しなければ、病院の生き残りはもはや簡単なことではなくなった。したがって適正な経営規模で病院を経営していくことがひとつのテーマとなってきている。本研究では、病院モデルを作成し、患者動向を観察することから始めている。そのパラメータを設定するために、神奈川県、東京都、長野県の10の医療機関に対してヒアリングを実施した。このヒアリング結果に基づき、病院の入院患者への治療の失敗率や重症度別の来院確率を算出した。病院モデルについては、病院における日単位の患者の動きを離散タイプのマルコフ連鎖によりモデリングして、平均待ち時間や病床稼働率を解析し、妥当な病床数や平均在院日数を考察した。最初に近似的にJacksonによる分析法を用いて、定常状態確率と待ち日数を導出した。また、連続マルコフ法を用いて、その妥当性を検証した。さらに、妥当な病床数を単位時間当たりの収益関数及び費用関数によってマネジメント的に考察した。収益・費用関数による検討においても、来院患者数の50%程度の病床数とするのがもっとも効率的であるとの結果を得た。次に、これらの解析系モデルでは、入院患者の取り扱いが十分に反映できないので、より正確に反映させるために、病院モデルを再検討した結果、数値シミュレーション法を援用することとした。数値シミュレーション法による病院モデルでは、病床ごとの平均在院日数、待ち時間、病床稼働率を計測し、患者待ち時間の観点から妥当な来院患者数を検討した。この結果、来院患者数に対して50%程度の病床数を設定するのが妥当との結果を導き出した。こうした結果を得た上で、Jacksonネットワークによる地域医療連携モデルを作成し、地域医療供給体制についても検討した。より効率的な医療供給体制の在り方のひとつとして、病院機能を分離し、より緊密な医療連携を提供した方が待ち時間を短縮できるとの結果を得た。本論文では、上記の論点を整理し、病床利用率及び入院待機時間という観点から妥当な病床数を推測する病床管理モデルを提案し、併せて、病院機能を最大限に発揮するために必要な人員確保という観点から外来患者の地域内動向に着目した地域医療連携モデルを策定した。第1章では、本研究の目的、背景、研究の進め方について述べている。第2章では、地域医療計画における病床数管理の問題について、現在の政策的な課題についてこれまでの経験を踏まえ考察している。第3章では、主たる病院機能である入院ケアについて考察を試みた。病院における日単位の患者の動きを離散タイプのマルコフ連鎖によりモデリングして、平均待ち時間や病床稼働率を解析し、妥当な病床数や平均来院日数を考察している。研究対象とした病院は、一般病院を想定し、重症度ごとに分けられ治療がなされるものとした。ここでは、近似的にJacksonによる分析法を用いて、定常状態確率と待ち日数を導出しその妥当性を検討した。第4章では、数値シミュレーション法を用いて、病院内の平均在院日数、待ち時間、病床稼働率を計測した。さらに、収益・費用関数を用いて、来院患者数と妥当な病床数の関係を検討し、経営工学的な考察を試みた。第5章では、外来患者の地域内における患者動向に着目し、効率的な患者動向について考察を試みた。一次医療圏モデルにおける医療機関として、高度医療を提供する地域基幹病院、標準的病院診察を提供する中規模病院、かかりつけ医機能を提供する診療所を設定した。各々の医療機関の提供できる診療体制に応じて、患者は、医療機関を移動し、効率的な患者フローを策定したものである。解析では、医療機関ネットワークを想定し、Jacksonネットワークによる分析法を用いて、待ち時間を導出した。また、サービスステーションとして設定した病院の医師数を変化させることで、病院外来の待ち時間変化も考察し、医療機関ネットワークの充実によって、医師の適正配置が可能となり病院機能の拡大が図られることを示した。病床管理において重要な課題となる医師の確保について、病院内で外来に振り向けられる医師を入院治療に振り替えられる可能性についても言及し、新たな地域医療連携モデルについて提言もしている。第6章では、本研究の成果についてまとめるとともに、今後の検討するべき課題について展望している。以上のように、本研究は、これまでの診療報酬表改定等による政策論的な妥当性のみ検討してきた病床数問題に対して、経営工学的観点から考察を加え、今後の医療政策の方向について言及している。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000560212
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000562419
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 023851833
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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