歯車測定機の精度向上に関する研究 Development of High Precision Gear Measuring Machine

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著者

    • 田口, 哲也 タグチ, テツヤ

書誌事項

タイトル

歯車測定機の精度向上に関する研究

タイトル別名

Development of High Precision Gear Measuring Machine

著者名

田口, 哲也

著者別名

タグチ, テツヤ

学位授与大学

電気通信大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

甲第674号

学位授与年月日

2012-03-23

注記・抄録

博士論文

2011

歯車の幾何学的形状・寸法については,形状誤差の大小によって歯車精度を等級分けする歯車精度規格があり,その測定には様々なタイプの歯車測定機が利用されている.しかし,歯車測定機の測定値を保証するシステムが整備されていないため,特に高精度が要求される歯車の精度等級(測定値)の信頼性が保証されず,国際的な取引や分業体制の進展を妨げている.そこで歯車の精度を保証するために,国際的に認められたトレーサビリティ体系に基づく歯車測定機のキャリブレーション方法を標準化する研究が進められている.その中において,トレーサビリティ体系を確立するためには,より不確かさが小さく,一般に使用される歯車測定機を校正する基準器を評価できる高精度な測定機(歯車測定基準機)が必要となり,(社)日本歯車工業会を中心とした研究開発プロジェクトでは,高精度歯車測定機(以下,試作機)を試作し,従来の歯車測定機より高い測定精度が確認された.しかし,被測定歯車の取り付け位相や測定速度が変わると測定結果である歯形誤差曲線が僅かながら変化するという問題点が明らかになり,精度を十分に保証できるまでには至らなかった.そこで,まず試作機の幾何学的モデルによる誤差要因の解明と実機改良による精度向上を試み,被測定歯車の取り付け位相の影響については,その要因として取り付けの偏心もあるが,測定機内部のロータリエンコーダの偏心が大きな要因であることを示した.また,特に顕著に現れていた測定速度の影響については,高速データ読み取り装置を構築して測定したデータを解析し,その原因がエイリアシングであることを明らかにした.エイリアシングとは,サンプリング周期が測定対象の周期の1/2 より大きいときに,測定できない高次成分が低次成分として測定値に現れる現象であり,サンプリング周期が変化すると低次成分にも変化が現れる.高速サンプリングと移動平均フィルタによってエイリアシングの影響を低減し,測定の繰り返しばらつきは小さくなったが,測定データをフーリエ解析した結果,高次成分は試作機の機構に起因していることが分かり,本研究で解決すべき課題とした.次に,試作機における測定の繰り返しばらつきを改善するために,測定データの高次成分の要因の一つである機構を検討し,ウォームギヤやボールねじ等を用いない直接駆動方式の新しい測定機構を提案した.その有効性を検証するために,歯形測定に特化した実験機として開発した回転駆動系と直線駆動系の機構および制御方式について述べる.回転駆動系はエアベアリングを採用してDD(ダイレクトドライブ)モータによって直接駆動する機構とし,直線駆動系はエアスライドを採用してリニアモータによって直接駆動する機構とした.各駆動系共に,直接駆動方式に適したサーボ制御を行うために、制御系シミュレーションと駆動実験によって位置制御系とトルク制御系を比較・検討し,高い応答性を発揮する制御則を決定した.そして,実際の歯形測定において測定の繰り返しばらつきが試作機より小さくなることを確認した.更に,実験機から得られた直接駆動方式測定機構の知見に加えて,精度の安定化や高精度化のための方策を適用して開発した高精度歯車測定機(以下,開発機)について述べる.回転駆動系は実験機と同様の機構とし,その回転角度の計測には自己校正型ロータリエンコーダを採用して偏心等に起因する角度誤差を低減させた.直線駆動系は実験機の機構に加えて歯すじ測定に必要な垂直軸を直接駆動機構として組み込み,歯形・歯すじ測定に対応できるY-Z ステージとした.また,測定機の基準となる本体ベッドには花崗岩を採用し,伝統のキサゲ技術を駆使して高い機械精度を実現した.更に,開発機での測定値の不確かさを小さくするために,測定子のたわみを補正する高精度な変位検出システムや直線駆動系の真直度を校正する方法を開発した.そして,開発機の性能評価では,測定の繰り返し性と再現性の評価およびインボリュートアーティファクトの校正値との比較を行い,高い測定能力が確認できた.そして,日本における歯車のトレーサビリティ体系を確立するために重要な歯車校正の現状について述べ,その中での開発機の位置付けについて述べる.歯車校正システムへの適用評価の指標として,開発機の最高測定能力をJCSS歯車校正機関における不確かさ算出要領に準じて評価し,現在の歯車測定基準機の最高測定能力を上回ったことが確認できた.よって,開発機は歯車校正システムに組み込むのに十分な測定能力を持つことが検証できた.最後に,本研究で得られた成果をまとめ,今後の課題と展望について述べる.

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000560216
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000562423
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 023851852
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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