潜在変数を所与とした条件付き独立性検定とテスト項目分析への応用 Conditional Independence Test Given a Latent Variable and Its Application to Test Item Structure Analysis

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著者

    • 橋本, 貴充 ハシモト, タカミツ

書誌事項

タイトル

潜在変数を所与とした条件付き独立性検定とテスト項目分析への応用

タイトル別名

Conditional Independence Test Given a Latent Variable and Its Application to Test Item Structure Analysis

著者名

橋本, 貴充

著者別名

ハシモト, タカミツ

学位授与大学

電気通信大学

取得学位

博士 (工学)

学位授与番号

甲第679号

学位授与年月日

2012-03-23

注記・抄録

博士論文

近年,TOEFL,CASEC,情報処理技術者試験など,国内外を問わず大規模試験のe テスティングによる実施が普及している.e テスティングは,(1) 受検者の能力を随時推定しながら最適な項目を選択出題できる,(2) テスト領域からランダムに項目を抽出しテスト出題バイアスを減少できる,等の特徴を持つ.一般に,e テスティングは,項目反応理論(Item Response Theory, 以下,「IRT」)と呼ばれるテスト理論に従い,項目データベースを構築する.IRT とは,項目に対し受検者が正答する確率を,受検者の能力という潜在変数の関数としてモデル化した数理モデルである.IRT には,(1) 異なるテストの受検者の能力を同一尺度上で評価できる,(2) 能力推定の精度を減少させることなくテスト項目を減らすことができる,(3) テスト構成時に得点分布を予測できる,等の特徴がある.IRT は,能力潜在変数を所与として,各項目への正答確率が条件付き独立になる「局所独立性」と呼ばれる仮定を持つ.しかし,現実のテストは局所独立性の仮定が成り立たない場合が多く,これがパラメータ推定に致命的なバイアスを与えることも報告されている.したがって,質の高い項目データベースを構築するために,データベース中の項目集合の局所独立性を検定し,局所独立性の成り立たない項目を排除することが必要となる.局所独立性の検定法はこれまでにもいくつか提案されている.特に,Yen(1984)とChen& Thissen(1997)の局所独立性検定は,能力潜在変数を周辺化しさえすれば2 項目間のみで独立性検定を実行可能であることを特徴としており一般的に用いられてきた.これらの手法は暗黙に,局所独立性の検定対象以外のすべての項目が互いに局所独立であることを仮定している.しかし,本論文では,検定対象以外の項目間に従属関係がある場合には,能力潜在変数を周辺化しても,2 項目の関係だけでは局所独立性を検定できないことを明らかにした.さらに,本論文では,グラフィカル・モデルの条件付き独立性検定(Conditional Independence Test,以下,「CI 検定」とする.)のフレームワークを利用し,実際のテスト項目の構造が未知でも構造に依存しない局所独立性検定である,潜在条件付き独立性検定(Latent Conditional Independence Test,以下,「LCI 検定」とする.)を提案する.いくつかのシミュレーション実験によりLCI 検定が従来手法より優れていることを示した.LCI 検定により, (1) 局所独立性の成り立たない項目の出題を回避しIRT のパラメータ推定精度を維持する,(2) 類似した項目および他項目のヒントとなり得る項目の出題を回避しテスト情報量とテストの妥当性を高める,(3) 局所独立性の仮定を緩和したモデルを用いるシステムでは,互いに従属関係のある項目をセットとして出題する,等のことが可能となる.また,本論文では,LCI 検定を項目構造分析に応用し,項目潜在構造分析(Item Latent Structure Analysis,以下,「ILS 分析」とする.)として提案した.項目構造分析はテスト項目の従属関係を可視化する方法であるが,従来手法は2 項目間の相関関係のみを評価して構造化するため,能力潜在変数の影響が考慮されていない.本論文では,従来手法が区別できない,項目同士の従属関係と,能力潜在変数を介した擬似相関とを,ILS 分析が区別し,本質的に意味のある項目間関係を可視化できることを示した. さらに,ILS 分析を大学入試センター試験の問題に適用した結果から,英語のテストにはテスト全体で測られる「英語力」に加え文法問題特有の能力がある可能性と,数学のテストではテストで測られる能力の他に解答速度が別次元の能力となっている可能性が示唆された.

2011

6アクセス

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000560228
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000562435
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 023851929
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL-OPAC
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