eラーニングにおける効果的なマルチメディア教材の提示方法についての研究 Research on effctive presentation method of mutimedia contents in e-Learning

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Author

    • 安藤, 雅洋 アンドウ, マサヒロ

Bibliographic Information

Title

eラーニングにおける効果的なマルチメディア教材の提示方法についての研究

Other Title

Research on effctive presentation method of mutimedia contents in e-Learning

Author

安藤, 雅洋

Author(Another name)

アンドウ, マサヒロ

University

電気通信大学

Types of degree

博士 (学術)

Grant ID

甲第681号

Degree year

2012-03-23

Note and Description

博士論文

2011

本論では,人間の情報処理モデルの1つである「デュアル・チャンネル・モデル」に基づき,マルチメディア・e ラーニング環境における,聴覚コンテンツと視覚コンテンツの同期を支援する教材提示方法を提案し,同期の向上により学習が効率化できることを示す.デュアル・チャンネル・モデルは,人間の聴覚と視覚それぞれ情報処理を行う独立なチャンネル,聴覚チャンネルと視覚チャンネルが存在し,それら二つにそれぞれ決まった容量があると仮定したモデルである.マルチメディア教材研究の第一人者,Mayer は,マルチメディアを「語(ナレーション,文章)と図(絵,写真,図表,動画)を同時提示する方法」と定義している.Mayerらは,デュアル・チャンネル・モデルに基づき,多くの実験を行うことで,視覚コンテンツである図や動画と聴覚コンテンツであるナレーションを同期して提示するマルチメディア教材が学習に効果的であると報告している.これらの実験は,多くの研究者によって追試され,その有効性が確認されている.従来研究での実験方法は,教師が学習者集団にコンテンツをプロジェクター提示しながら,説明を行い,そのあとに実施されるテスト結果の比較を行うというものである.しかし,これらは聴覚コンテンツと視覚コンテンツを同時に提示しただけで聴覚チャンネルと視覚チャンネルの同期が取れることを暗黙に仮定している.一般には聴覚コンテンツと視覚コンテンツを同時に提示しただけでは,その同期は保障されていない.また,e ラーニングでは,教師が存在する対面授業と異なり,自律的に学習を行わなければならず,従来の対面授業での実験結果とは異なる可能性が高い.本論では,聴覚コンテンツと視覚コンテンツの同期を支援するため,e ラーニング・マルチメディア教材におけるポインタ提示法を提案し,実験でアイマークレコーダを用いた定量的評価の結果,実際に視覚と聴覚の同期が改善されることを示す.さらに,それにより学習が改善されることを示すことで,これまで暗黙の仮定として扱われてきたデュアル・チャンネル・モデルの妥当性を示すこともできる.テキスト,静止画,動画のそれぞれのコンテンツとナレーションを同時提示した場合を比較した結果,ポインタの有無にかかわらず,動画が最も聴覚と視覚の同期が取れ,学習効果が良いことが示された.これは,よく設計された動画コンテンツが学習者の注視点をナレーションに同期して誘導していることを示している.しかし,一般にはこのような動画コンテンツの制作コストは高く,また,動画で表現できる内容も限られている.一方,ポインタを用いる場合には,静止画コンテンツが動画と同様に同期を支援し,同等のコンテンツ注視時間を保障すること,同等の学習効果があることが示された.静止画は,制作コストが低いだけでなく,表現できる内容の範囲も動画に比較して広い.ただし,テキストを静止画に挿入した場合,視覚情報が多くなりすぎ,同期がとりにくくなり,学習を阻害することも示された.このような結果より,e ラーニングでは,テキストを挿入しない静止画とナレーションをポインタを用いて同時提示することが最も学習効果を高める手法であることが示唆された.また,学習科学の研究では,学習中のメモ書きが学習効果を高めることが報告されている.しかし,そのメカニズムは明らかにはされてきていない.本論では,e ラーニングにおいてもメモ書きが学習効果を高めることを示し,そのメカニズムをデュアル・チャンネル・モデルにより説明した.具体的には,紙媒体,キーボード,ペンタブレット,タブレットPC によるメモ書きを行いながらのe ラーニングを,アイマークレコーダを用いて比較した結果,ナレーションに合わせて下線を引いたりペン先でなぞることで,聴覚と視覚の同期が支援され,マルチメディア教材の有効性を阻害することなく学習できることが示された.また,ナレーションを聞きながらのメモ書きは,書込み行為が作業記憶における聴覚情報と視覚情報の同期を誘発し,記憶を促進することを示した.このような結果より,e ラーニング環境でのメモ書きでは,タブレットPC の利用が最も学習効果を高める手法であることが示唆された.また,テキスト,静止画,動画のコンテンツで比較したところ,テキストなしの静止画コンテンツでタブレットPC による学習効果が最も向上することが示された.以上から,プレゼンテーション環境では動画とナレーションが最も効果的な教材提示法であることが従来研究で報告されているが,e ラーニング環境では静止画とナレーションの同時提示が最も効果的な教材提示法であることが示唆された.

48access

Codes

  • NII Article ID (NAID)
    500000560233
  • NII Author ID (NRID)
    • 8000000562440
  • Text Lang
    • jpn
  • NDLBibID
    • 023851946
  • Source
    • Institutional Repository
    • NDL ONLINE
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