異種グリッド間インターオペレーション技術に関する研究

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著者

    • 佐賀, 一繁 サガ, カズシゲ

書誌事項

タイトル

異種グリッド間インターオペレーション技術に関する研究

著者名

佐賀, 一繁

著者別名

サガ, カズシゲ

学位授与大学

総合研究大学院大学

取得学位

博士(情報学)

学位授与番号

甲第1559号

学位授与年月日

2012-09-28

注記・抄録

博士論文

現代の科学研究は大規模化、高精度化、複雑化、多角化する一方であり、その円滑な推進にはコンピュータは欠かせないものとなっている。とのため、ユーザからのコンピュータの大規模化、高速化への要望は限りがなく、個々の組織で対応するのが難しくなってきた。そこで、ユーザが必要とするコンピュータ資源を必要なときに必要なだけ得られる環境を目指し、組織の垣根を越えてコンピュータ資源を連携させるグリッドニンピューティング(以下グリッドと略).が考案された。この仕組みを利用すれば、ユーザは広域なネットワーク上にある複数の実組織や個人が所有するコンピュータ資源群やストレージ資源群を、あたかもひとつの仮想的な組織(virtualorganization:VO)が所有する資源群であるかのように横断的に使用することが可能となる。また、グリッド環境はコンピュータ資源を補完するための連携に使われるだけではなく、研究ニミュニティでデータやアプリケーションを共有し研究を円滑に推進するためにも使われている。現在、欧州、米国、中国などの諸外国では、グリッドコンピューティング技術による資源の組織間連携の有効性が認められ、国策としての大規模グリッド環境や様々な研究コミュニティによるグリッド環境が構築され広く利用されている。このように、その有効性が認められ諸外国では盛んに利用されるようになってきたグリッド環境であるが、この技術が提案された当初にはグリッドとしてのインターフェースや情報表現方法などに標準仕様がなく、多くのグリッドミドルウェアが独自仕様で開発された。このため、異なるグリッド間では資源を連携させることができず、国際的な共同研究や異分野間の共同研究の円滑な推進に問題が出てきた。そこでグリッドコンピュヤティングの標準仕様を策定する団体OpenGridForum (OGF)では、異なるグリッド間でジョブを相互投入するための仕様Highperformance computingBasicprofile (HPCBP)を策定した。多くのグリッドプロジェクト、大学、企業が HPCBP 準拠のジョブ実行サービスやモジュールを開発し、実証実験などによりその有効性を確認している。しかし、HPCBP 仕様で実運用レベルのインターオペレーション環境を構築するには多くの問題が存在しており、これを解決していく必要がある。本研究は大きくは二つの課題からなる。第一にインターオペレーションに必要な機能や情報を明確にし、インターオペレーションアーキテクチャを提案する。さらに、 HPCBP仕様に準拠したミドルウェアを実装し、これを用いたインターオペレーション研究環境を構築して他グリッドとの実証実験を行う。第二にインターオペレーションにおいて発生が予想されるコンピュータ資源間の口ードバランスの乱れによる性能低下問題と、ユーザアカウント管理方法の違いによるデータステージングの回数増加問題を明らかにし、解決方法の提案と実験やシミュレーションによる有効性の確認を行う。第一の課題であるインターオペレーションアーキテクチャの提案とは、単ーグリッド環境と同じレベルの資源連携を、複数の異種グリッド間で実現するアーキテクチャを提案することである。この資源連携には、ジョブ投入・実行に関する仕様だけでなく、グリッド間の情報交換仕様や認証仕様など、さまざまな機能仕様や情報表現仕様が必要になる。これら仕様を明確にするには、まず、単ーグリッドでのジョブ実行に必要な仕様を明確にし、単ーグリッドでのジョブ実行の流れと、インターオペレーションにおけるジョブ実行の流れとを比較してインターオペレーションとして必要な仕様を明確にする。さらに、とれを現状唯一適用可能である HPCBP 仕様に当てはめ、不足している機能仕様や情報表現仕様などを明確にする。実際には HPCBP はジョブ投入・実行に関する仕様でしかなく、多くの仕様が不足している。例えば、グリッド間の資源状況の交換仕様やジョブのデプロイメント仕様などである。これらの仕様が不足することにより発生する問題を明確にし、その解決策を提案する。また、 HPCBPへの準拠は一般に既存のミドルウェアに追加する形で実現されることが多く、このとき既存仕様との整合性の問題が発生する。本研究では、国立情報学研究所が開発したNAREG1ミドルウェアのHPCBP準拠実装を通じ、これらの仕様上の問題に対する解決策を提案する。また、この実装を使用してインターオペレーション研究環境を構築し、諸外国のグリッドと実証実験を行ったので、その結果を報告する。第二の課題の第一の問題は、クライアント、メタスケジューラ、コンピュータ資源などからなる一組の完結したグリッド環境(以下口ーカルグリッドと略)に、他グリッドからジョブが投入されることにより、ローカノレグリッドのコンピュータ資源間の口ードバランスが乱れ、実行待ちジョブの増加、実行待ち時間の長期化などの問題が発生すると予想されることである。これは、他のグリッドが予告なしに口ーカルグリッドのコンピュータ資源に直接ジョブを投入することにより発生する。まず、この問題が実際に発生することを実験とシミュレーションによって示し、問題の原因を検討する。そして、この原因に対する解決策を提案し、シミュレーションによってその有効性を確認する。次に第二の課題の第二の問題は、コンピュータ資源のユーザアカウント管理方法の違いに起因するデータステージング回数の増加問題である。グリッド環境のコンピュータ資源のユーザアカウントとその作業領域の管理方法には、単体コンピュータシステムのような静的なユーザアカウント管理と、ジョブ毎に動的にユーザアカウントを割当てる一時ユーザアカウント管理の2種類の方法がある。2つのコンピュータ資源で依存関係のあるジョブを実行した場合を考える。各資源上のジョブの間でファイルのデータステージング(データ転送)が必要となるが、一時アカウント管理のコンピュータ資源間の方が、アカウントや作業領域のライフタイムの都合で、静的アカウント管理のコンピュータ資源間よりデータステージングを1回多く必要とする。異なるアカウント管理のコンピュータ資源を混在して使用する場合、一時アカウント管理のデータステージング方法を採用せざるを得ず、静的アカウント管理のグリッドユーザから見ると、データステージングが 1 回多く必要となり、その時間だけジョブの実行に時間を要することになる。近年はデータが巨大化する一方であり、この時間は無視できないほど大きくなってきている。また、同じデータを複数回転送するととはネットワークトラフィックの増大をもたらし、他のジョブへの影響することも考えられ望ましくない。本研究ではこの問題を解決する方法を提案し、実際にプロトタイプ実装を行って有効性を確認したので報告する。

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000574213
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000000576538
  • 本文言語コード
    • jpn
  • NDL書誌ID
    • 024794404
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDL ONLINE
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