紙を構造体とした動きのメディア Paper based motion media
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著者
書誌事項
- タイトル
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紙を構造体とした動きのメディア
- タイトル別名
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Paper based motion media
- 著者名
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安, 謙太郎
- 著者別名
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ヤス, ケンタロウ
- 学位授与大学
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慶應義塾大学
- 取得学位
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博士(メディアデザイン学)
- 学位授与番号
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甲第3850号
- 学位授与年月日
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2013-03-23
注記・抄録
博士論文
本研究は紙を構造体とした動きのメディアを構成する技術を提案するものである. 紙のもつ薄く, 軽く, 柔らかいといった特徴はそのままに, その形状を任意に制御し, 設計した通りの動きを任意の時空間上に提示させる手法を示す. なぜなら, 「ものに動きを与える」という経験には創造的な作業を行う際に重要な要素が詰め込まれているにもかかわらず, 経験的障壁と技術的障壁が長らく立ちふさがってきたからである. 動くものをつくる, つくったものを動かすためには複雑な空間認識能力, 設計力, また想像力や表現力などが必要とされるが, 手を動かすことでまた同時にそれらを育むことができる. しかし人工物に動きを与える技術についての研究分野であるロボット工学では, 動作素子や筐体の質量を支えるために重く, 固い駆動機構と, それを動かすための複雑な配線やプログラムを組み込んだ制御機構による構成が主流であり, それらに触れること, さらに操ることは非常にハードルの高いものであった. 一方で紙は動きを組み込むのに最適な素材でありながら, これまでは主に静的な情報の提示に利用されてきた. 文字や絵, ときにはペーパークラフトによる模型など, 静的な情報の提示を主としてきた紙は, 加工が容易であり, 小さいエネルギーでの作動, また保存や輸送に必要なスペースも少なくてすむ素材であり, エンドユーザが自在に形状を設計し, 動きを組み込み, 共有するのにも非常に適した素材である. そこで本研究で提案するのが, 「紙を構造体とした動きのメディア」を構成する技術である. この技術を使用すれば知識や経験をもたない, 例えば幼稚園児であっても, 家庭で動くものの作成を楽しむことができるようになる. これにより一部の人間が持つ特殊な技能であった「動くものをつくる能力」をすべての人間に開放し, 誰でも動くものをつくることができる時代へと社会を推し進めることが本研究のねらいである. 具体的な設計指針は, 作動素子として熱応答性素材を内蔵した小型, 薄型のシート状部材を取り付けるという手法である. このとき取り付けるシート状部材の種類によって提示する動作を, 取り付ける位置によって動かす紙の位置を決定し組み込むことができる. さらにこれに対して伝送する熱エネルギーを制御することで複雑な動作の提示も可能になる. この設計指針に基づき, 各々異なる動きのメディアとしての設計概念をもつ三種類のプロトタイプ「Move-it」「Animated Paper」「POPAPY」を構築した. これらプロトタイプを多数の被験者に使用させ, 得られるフィードバックを反映させることで, 非常に多様な表現に耐えうる「動きのメディアとしての紙」の構成に必要な要素および条件を明らかにした.