日本人成人女性前歯部配列における理想的な切歯のプロポーションに関する検討 Research of Ideal Anterior Teeth Proportion for Anterior Teeth Alignment of Japanese Adult Female

著者

    • 矢ヶ﨑, 昭裕
    • Yagasaki, Akihiro

書誌事項

タイトル

日本人成人女性前歯部配列における理想的な切歯のプロポーションに関する検討

タイトル別名

Research of Ideal Anterior Teeth Proportion for Anterior Teeth Alignment of Japanese Adult Female

著者名

矢ヶ﨑, 昭裕

著者名

Yagasaki, Akihiro

学位授与大学

松本歯科大学

取得学位

博士(歯学)

学位授与番号

甲第188号

学位授与年月日

2016-02-05

注記・抄録

歯科医療の目標として審美性の維持,回復は口腔機能を健康に保つことと共に重要な要素である.この歯科審美において重要な要素は形態, 歯列,色調であるが,とりわけ理想的な切歯の形態は最重要要素のひとつである.そこで歯科矯正治療によって得られた個性正常咬合の上顎中切歯, 側切歯,犬歯に着目し,前歯のプロポーションについて一般的に理想といわれる黄金比(ゴールデンプロポーション)と異なる知見を得たので報告する.日本矯正歯科学会専門医を有する矯正歯科専門医院を受診し,初診時診断でANB2~4°を示す骨格的に問題の認められないAngle Ⅰ級不正咬合と診断され矯正歯科治療を終了し,個性正常咬合を獲得した成人女性患者161人(平均年齢32 歳)を対象とした.計測には通常の治療前後の資料に合わせ採得した上顎前歯部歯列の写真を用いた.写真はコントラスター(YDM, Tokyo) と口角鉤 (YDM, Tokyo) を用い上顎歯列のみの正面観を抽出し一眼レフカメラ(Canon EOS X7i , Canon, Tokyo),レンズ(Canon Lens, TECHNO DCC-GP/DUW, Canon, Tokyo) を用い規格撮影を行った.得られた資料を3.8 倍に拡大し中切歯,側切歯,犬歯の歯冠幅径について臨床経験5年以上を有するもの3名によって計測した.正面から撮影した上顎歯列を抽出した二次元像3.8 倍大写真より中切歯,側切歯,犬歯の形態の歯冠幅径を計測した結果,平均値において中切歯32.48mm,側切歯23.83mm,犬歯19.90mmであった.前歯のプロポーションは側切歯を1 とした場合,中切歯は1.36,犬歯幅径は0. 84 であった.解剖学的幅径の比率は側切歯,犬歯,中切歯の順に大きくなることは一般的な認識である.しかしながら,前歯の調和性は実際の歯の幅径ではなく,正面から二次元的にみた場合のプロポーションであり実際の幅径とは異なり歯列弓形態,歯軸の影響が大きく影響すると考えられる.正面から撮影した上顎歯列を抽出した二次元像3.8倍大写真より中切歯,側切歯,犬歯の形態の歯冠幅径を計測した結果,前歯のプロポーションは側切歯を1とした場合,中切歯は1.36,犬歯幅径は0.8 4 であった.特に中切歯と側切歯のプロポーションは1 対√2 と日本で古くから美しい比とされる白銀比(大和比・シルバープロポーション)に近似した値であった.今回の研究結果から日本人における矯正歯科治療後の前歯部プロポーションにおいて切歯は白銀比に近い値が得られた.このことから一般的に理想といわれる黄金比は欧米人(コーカソイド,Caucasoid)に当てはまることはあるものの日本人(モンゴロイド,Mongoloid)における前歯部配列においては白銀比が理想的な切歯のプロポーションであることが示唆された.

2015

identifier:甲第188号

甲第188号

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500000981150
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000001604058
    • 8000001604059
  • 本文言語コード
    • jpn
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDLデジタルコレクション
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