自動車の操舵感の設計技術に関する研究

著者

    • 久代, 育生

書誌事項

タイトル

自動車の操舵感の設計技術に関する研究

著者名

久代, 育生

学位授与大学

香川大学

取得学位

博士(工学)

学位授与番号

甲第129号

学位授与年月日

2018-03-24

注記・抄録

収集根拠 : 博士論文(自動収集)

資料形態 : テキストデータ

コレクション : 国立国会図書館デジタルコレクション > デジタル化資料 > 博士論文

要旨今日の商品に求められる要件は,高信頼性,低コスト,高品質だけでなく,「感性」に訴えるものである必要がある.それは感性性能とよばれるものであり,消費者にとって重要な要素である.そして,生活水準の向上,価値観の多様化などにより,感性性能はますます重要な性能のひとつとなっている.自動車に求められる感性性能も同様であり,目指す感性性能を満足させるべく,研究開発がおこなわれている.自動車に求められる重要な感性性能のひとつである操舵感も,重要であるがゆえ研究論文も多い.しかし,操舵感の性能は,テストドライバと呼ばれるプロの運転者の主観評価に基づく車両のチューニングにより作りこまれており,感性性能設計法は確立されていないのが現状である.その一方,自動車などの工業製品においては,製品の開発の激化や,それに伴うコンピュータやエンジニアリングツールの発達により,MBD(モデルベースデザイン)のような,計算機上での設計検討や開発が進められている.また,計算機上で再現しにくい場合や,実機の検証にHILS(Hardware Inthe Loop Simulation)が用いられている.そして,これらのツールを用いたV字型開発プロセスが提唱され実践されている.このような昨今の情勢を考えると,感性性能においても定量に基づく,性能設計がおこなわれることが必要となっている.そこで,本研究においては,自動車の操舵感という感性性能の定量化に基づいたV字型開発プロセスを提案し,操舵感の設計プロセスの構築と設計技術の確立を目指す.まず,感性性能の設計開発プロセスおける感性の定量化の位置づけを明確にする.感性性能の物理特性への定量化は,V字型開発プロセスの定量的な目標設定を可能にし,部品のバラツキによる性能の精度設計に及ぶ中核技術と位置づける.続いて,これまでの操舵感検討の文献より,操舵感研究の定量化の問題点を明らかにする.次に,感性性能の定量化プロセスの構築と提案をおこなう.その中で人間の操舵パターンを解析し,それに基づいた操舵感の新たな定量化指標を提案し,従来の操舵感定量化指標を補完する.次に,性能設計をおこなう.そのために,定量評価指標の操舵特性に影響を及ぼす操舵系や車両運動の影響を解析し,それらの影響を定式化する.それにより各要素のバラツキを含めた操舵特性の検討を可能にする.操舵特性に影響を及ぼす操舵系のメカニズムを解析した結果,操舵系の剛性,摩擦,パワーステアリングのアシスト特性などが,操舵中点からの立ち上がりの操舵特性やその他の定量化指標への操舵特性にも大きな影響を及ぼしており,それらのパラメータによる操舵特性の設計が可能であることを検証する.さらに,一般ドライバの操舵特性を分析すると共に,熟練テストドライバの好む操舵特性が一般ドライバにとってどのような影響を及ぼすかを確認し,操舵目標特性の検証をおこなう.以上の研究をまとめ感性性能の設計開発,製品への折り込みプロセスを提案し,将来の開発プロセス,さらには,感性性能向上に向けたプロセスを提案する.最後に本研究の成果を,今後の自動運転や,新しい操舵システムにおける基礎的な知見と位置づけられることを述べ,今後の技術展望を論じる.

要旨 今日の商品に求められる要件は,高信頼性,低コスト,高品質だけでなく,「感性」に訴えるものである必要がある.それは感性性能とよばれるものであり,消費者にとって重要な要素である.そして,生活水準の向上,価値観の多様化などにより,感性性能はますます重要な性能のひとつとなっている.自動車に求められる感性性能も同様であり,目指す感性性能を満足させるべく,研究開発がおこなわれている.自動車に求められる重要な感性性能のひとつである操舵感も,重要であるがゆえ研究論文も多い.しかし,操舵感の性能は,テストドライバと呼ばれるプロの運転者の主観評価に基づく車両のチューニングにより作りこまれており,感性性能設計法は確立されていないのが現状である.その一方,自動車などの工業製品においては,製品の開発の激化や,それに伴うコンピュータやエンジニアリングツールの発達により,MBD(モデルベースデザイン)のような,計算機上での設計検討や開発が進められている.また,計算機上で再現しにくい場合や,実機の検証にHILS(Hardware Inthe Loop Simulation)が用いられている.そして,これらのツールを用いたV字型開発プロセスが提唱され実践されている.このような昨今の情勢を考えると,感性性能においても定量に基づく,性能設計がおこなわれることが必要となっている. そこで,本研究においては,自動車の操舵感という感性性能の定量化に基づいたV字型開発プロセスを提案し,操舵感の設計プロセスの構築と設計技術の確立を目指す. まず,感性性能の設計開発プロセスおける感性の定量化の位置づけを明確にする.感性性能の物理特性への定量化は,V字型開発プロセスの定量的な目標設定を可能にし,部品のバラツキによる性能の精度設計に及ぶ中核技術と位置づける.続いて,これまでの操舵感検討の文献より,操舵感研究の定量化の問題点を明らかにする.次に,感性性能の定量化プロセスの構築と提案をおこなう.その中で人間の操舵パターンを解析し,それに基づいた操舵感の新たな定量化指標を提案し,従来の操舵感定量化指標を補完する.次に,性能設計をおこなう.そのために,定量評価指標の操舵特性に影響を及ぼす操舵系や車両運動の影響を解析し,それらの影響を定式化する.それにより各要素のバラツキを含めた操舵特性の検討を可能にする.操舵特性に影響を及ぼす操舵系のメカニズムを解析した結果,操舵系の剛性,摩擦,パワーステアリングのアシスト特性などが,操舵中点からの立ち上がりの操舵特性やその他の定量化指標への操舵特性にも大きな影響を及ぼしており,それらのパラメータによる操舵特性の設計が可能であることを検証する.さらに,一般ドライバの操舵特性を分析すると共に,熟練テストドライバの好む操舵特性が一般ドライバにとってどのような影響を及ぼすかを確認し,操舵目標特性の検証をおこなう. 以上の研究をまとめ感性性能の設計開発,製品への折り込みプロセスを提案し,将来の開発プロセス,さらには,感性性能向上に向けたプロセスを提案する.最後に本研究の成果を,今後の自動運転や,新しい操舵システムにおける基礎的な知見と位置づけられることを述べ,今後の技術展望を論じる.

目次

  1. 2023-08-05 再収集
64アクセス

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    500001624304
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000002158171
  • 本文言語コード
    • jpn
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDLデジタルコレクション
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