Anomalous photovoltaic effect in π-conjugated ferroelectric liquid crystals

著者
    • 関, 淳志
書誌事項
タイトル

Anomalous photovoltaic effect in π-conjugated ferroelectric liquid crystals

著者名

関, 淳志

学位授与大学

香川大学

取得学位

博士(工学)

学位授与番号

甲第128号

学位授与年月日

2017-09-29

注記・抄録

“液晶”は、結晶と等方性液体の中間に存在する分子凝集状態を意味し、このような性質を示す材料を示す。液晶相において、液晶分子は動的な分子配向・構造秩序をもち、その構造的な異方性に由来して、光学的・磁気的・電気的異方性を示す。液晶性材料の代表的な実用例である液晶ディスプレイは、液晶の光学的異方性を利用したものである。強誘電性液晶は、高速応答性ディスプレイなどの電気光学素子への展開を目指し、広く研究、開発されてきた。

一方、アセンやオリゴチオフェンに代表される広いπ電子共役系骨格をもつ芳香族化合物は、紫外可視光領域に大きな吸収帯をもち、主に溶液系で高い発光特性を示すほか、分子凝集系ではπ軌道の重なりを介した良好な電荷輸送特性を示すことが知られる。液晶性半導体は、π共役系分子に液晶性を付与した材料であり、その集合構造に依存して異方的な電荷輸送能を示す。

本博士論文では、機能集積型(多機能)材料の構築戦略の一つとして、強誘電体としての性質と半導体としての電荷輸送性を併せ持つπ共役系強誘電性液晶を開発し、液晶性、強誘電性、電荷輸送性、異常光起電力(APV)効果といった機能の評価に関する研究について記した。

第1章では、材料全般における本研究の位置付けを示した後、論文全般の研究背景となる一般的概念とそれに関連した既報の研究について論述し、主旨となる研究全体の基本コンセプトと研究目的を提示した。

第2章では、π共役系強誘電性液晶のモデル分子の側鎖構造に注目し、側鎖構造の異なる分子を合成し、側鎖構造が液晶性、電荷輸送性、強誘電性に及ぼす効果について検証した。さらに、それらの特性がAPV応答性に及ぼす影響について論述した。

第3章では、モデル化合物の鏡像異性体を合成し、種々の組成のエナンチオマー混合2物を作製、評価することで、APV効果に対する自発分極の寄与をより詳細に検討し、π共役系強誘電性液晶におけるAPV効果が分子のキラリティに由来する従来にない新しい現象であることを明らかにした。

第4章では、自発分極の緩和に伴うAPV応答特性の減衰を抑制し、APV効果の増強を狙い、強誘電性液晶の従来系で報告されている表面安定化効果に注目した。従来のセルギャップ2μmの液晶セルとギャップ1μm以下の薄型液晶セルについて、誘電ヒステリシス特性とAPV応答挙動の違いを検証した。また、電場印加条件下で高次のスメクチック液晶相へ転移させる手法と組み合わせることで分極状態の安定化、固定化を実現し、薄型液晶セルにおけるAPV応答特性が増強されることを明らかにした。

最後の第5章では、第2章〜第4章に記した研究全体を総括し、サーモトロピック液晶の特長を活かした機能集積型(多機能)材料構築戦略の有用性を示し、将来的な展望について論じた第4章に記した研究全体を総括し、サーモトロピック液晶の特長を活かした機能集積型(多機能)材料構築戦略の有用性を示し、将来的な展望について論じた。

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各種コード
  • NII論文ID(NAID)
    500001082943
  • NII著者ID(NRID)
    • 8000001634645
  • 本文言語コード
    • eng
  • データ提供元
    • 機関リポジトリ
    • NDLデジタルコレクション
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