肥大型心筋症の運動誘発圧較差に対するcibenzolineの有効性

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タイトル別名
  • Cibenzoline relieves the pressure gradient of the left ventricular outflow tract stenosis with hypertrophic cardiomyopathy during bicycle ergometry

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抄録

閉塞性肥大型心筋症(HOCM)では圧較差軽減を目的に,薬物療法,DDDペースメーカ,心室中隔切除術,焼却術などが用いられている.その有効性は安静時圧較差,血行動態,運動耐容能,自覚症状などで評価されているにすぎず,運動中の圧較差に対する有効性を検討した報告はない.我々は,HOCM9例を対象に安静時圧較差だけでなく,臥位エルゴメータ負荷心エコー法を用い,運動誘発圧較差に対するcibenzolineの効果を検討した.<BR>Cibenzoline300mg/日の内服により前値に比し,安静時圧較差は平均56%(p<0.05),運動中の最低圧較差は63%(p<0.05),運動中の最高圧較差は67%(p<0.05),運動終了直後の最高圧較差は47%(p<0.005)に減少した.各時相の圧較差減少率は有意差を認めず,cibenzolineは,安静時だけでなく運動誘発圧較差にも同程度に有効なことが明らかとなった.<BR>Cibenzoline内服前にNYHA class IIであった3例はclass Iへ改善した.また,cibenzolineの内服により,安静時,運動負荷時に有意な圧較差の悪化を示した例はなく,圧較差減少の程度に差はあるものの,全例に有効であった.HOCMの予後を改善する治療法は確立しておらず,cibenzolineの予後に対する影響も不明であるが,cibenzolineによる薬物療法はQOLの改善に一定の臨床的有効性を持つと考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 33 (11), 841-846, 2001

    Japan Heart Foundation

被引用文献 (2)*注記

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