口蓋裂幼児80例の構音訓練成績

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  • Results of Articulation Training on 80 Children with Cleft Palate

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抄録

昭和大学形成外科言語外来において,過去8年間に,週1回,2ヶ月以上,系統的構音訓練を行い,かつ訓練を終了した6歳以下の口蓋裂児80例の構音訓練成績を分析し,訓練成績に及ぼす要因について検討した.<BR>対象の初回手術年齢は,1歳台に行ったもの70例,2歳台以降に行ったもの10例であり訓練開始時の鼻咽腔閉鎖機能は,良好71例,軽度不全9例であった.対象が有していた誤り音の数は,平均7.5個であり,異常構音の種類は,口蓋化構音が44例と最も多く,ついで声門破裂音29例であった.対象のうち,WPPSI知能診断検査が実施可能であった59例の平均知能指数は117.8であり,言語性知能指数(111.3)は,動作性知能指数(118.8)に比べ有意に低かった.<BR>訓練終了までに要した期間は,平均11ヶ月であり,訓練回数は,平均26.3回であった.<BR>訓練終了までに要した平均訓練回数を口蓋裂の初回手術年齢,鼻咽腔閉鎖機能,誤り音の数,異常構音の種類及び知能と比較した.<BR>その結果,口蓋裂の初回手術を1歳台で行ったもの,鼻咽腔閉鎖機能が良好であったもの,誤り音の数が少なかったものは,口蓋裂の初回手術を2歳台以降で行ったもの,鼻咽腔閉鎖機能が軽度不全であったもの,誤り音の数が多かったものに比べ,構音訓練回数は少なかった.<BR>口蓋化構音は声門破裂音に比べ訓練回数が多く,その差は4歳台で顕著であった.また,声門破裂音の訓練回数は,鼻咽腔閉鎖機能の程度によって,差異が認められた.言語性知能において、知能指数の高いものほど、訓練回数の少ない傾向が認められた.

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